「明日は我が身」保育園でホットドッグをのどに詰まらせるってどうやって?現役保育士が解説
現役の保育士です。
市立保育所で2017年、当時3歳の男児がおやつのホットドッグを喉に詰まらせ、低酸素性脳症で寝たきりになったとして、市に慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決で計約1億800万円の支払いを命じた。
保育所おやつで後遺症、賠償命令 ホットドッグを喉に詰まらせる
このニュースを見た率直な感想は「明日は我が身」でした。
今回はこのような事故がなぜ起こるのか、保育園事情を解説しながら考察します。
保育園は入園する子どもを選べない
公立や認可園の場合は、原則として保育園は入園する子どもを選ぶことはできません。
筆者の行政区においても保育園側は入園選考に関わることはなく、年度末になると市区町村から「はい、来年の入園児のリストですよ」とA4の紙が配布されるだけです。
今回の市立保育所での事故では、「男児に知的障害があったため1歳児クラスだった」と報道されています。
この情報だけを見ると、本来は療育施設を選択するのが望ましいお子様のようにお見受けしました。
保育園側は入園する園児を選べない上、他の施設に入園すべきだと働きかけることもできません。
施設選びは慎重に行うべきであると改めて認識した報道でした。
3歳児が1歳児クラスで過ごすとは
「当時3歳の男児は、発達の遅れがあったため1歳児クラスだった」と報道にありますが、誤解を呼ぶ表現ですね。
3歳なのに1歳児クラスの園児にはなれません。
- 保育所における3歳児の保育士配置基準は、子ども20人につき保育士1人です(2024年度より15人につき保育士1人に改正)。
- 保育所における1歳児の配置基準は、子ども6人につき保育士1人です(2025年度以降に5人につき保育士1人に見直される予定)。
この配置基準では、1人しかいない3歳児クラスの担任が、介助がないと安全に食事ができないこの男の子につきっきりになることは不可能です。
このため、1歳児クラスならまだ職員の余裕的に”まし”であるはずだと判断し、苦肉の策で1歳児クラスで過ごすことになったものと想像します。
よって、おやつも1歳と同じ内容ではなく、この男の子の分だけを3歳児クラスから毎回運んで、介助しながら食べさせていたのだと想像しています。
体格は3歳ですから給食やおやつは、量も味付けも1歳用とは異なります。
また、知的な発達は遅れていたとしても体力は1歳児以上だったと思われ、他の1歳児との接触により怪我人が出ないか配慮することも非常に困難だったと思います。
現役の保育士としては、この男の子に対しても、保育園の先生方に対しても、気持ちを思うと苦しく胸が詰まる思いです。
まとめ
市立保育所にて3歳の男の子がホットドッグのおやつを喉に詰まらせた事故について、保育園事情を解説しながら考察してきました。
次回記事では、噛む力が弱い子に対し保育園の先生が対策していることについて紹介したいと思います。
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