共働きの小学校受験のために保育園ができることは1つだけ「受験対策には役立たない」
共働きの現役保育士です。
共働きのため保育園を利用しつつも、小学校受験はしたいという方もいるでしょう。
残念ながら、受験対策をうたっている保育園でもない限り、保育園の先生が小学校受験のためにできることは限られています。
できることは1つだけ、「受験日が近づこうが、合格しようが落ちようが、これまでと同じように接し、安全を確保し、他のお友達と平等に扱うこと」です。
今回は、小学校受験をしたこれまでの卒園児のエピソードを交えながら、保育園が小学校受験のためにできることについて私見を述べたいと思います。
※文中すべて仮名
勉強ができようがお友達をいじめたら叱る
クラスでもリーダー格で、運動会や発表会でも重要な役割を担うことが多かったユウト君。
筆者は、小学校受験に関する知見は全くありませんが、ユウト君が小学校を受験する予定と聞いた時も、驚きはなく「きっとこんな子が合格するんだろうな」と思いました。
自由遊びの時間になると紙1枚とハサミだけで、飛び出すポップアップカードなどを瞬時に作ってしまう様子に、これまでの勉強の成果が表れています。
実際、難関と言われる小学校にあっさりと合格しました。
ある日、背が低いお友達の持ち物を手が届かない高さに隠しているユウト君の姿を保育士が発見。
ユウト君に対し保育士は、他の子が同じことをしたときと同様の口調と方法で、「お友達をいじめることは良くない」と伝えました。
小学校受験対策は行っていますか
保育園見学会に参加した方から質問が。
「小学校受験対策は行っていますか」とのことでした。
乱暴に言うと「すみません!そんなのしてません」という内容を、見学会担当保育士がオブラートに包んで返答していました。
保育園でも、文字の読み書きや算数、お遊戯や音楽に体操など、年齢に応じた活動を積極的に行っています。
ただ、受験対策用にはしていないだけです。
そもそも、保育士は小学校受験をゴールにはしていません。
保育園では、期待を持って小学校に入学できるように、さらには大人になってからも必要な生活習慣が身に付くように、お友達や社会とのかかわり方を学べるようにと、小学校入学よりもっと先の育ちの姿を描いて活動を計画しています。
リーダーシップを取る練習をする機会は平等に
小学校受験をすることになったアキラ君。
ママからアキラ君がリーダーという役割で活動を行ってほしいという依頼がありました。
アキラ君ママは、受験対策に一生懸命になるあまり、保育園は児童福祉法に基づく児童福祉施設である点を失念してしまったのかもしれません。
保育園には、お当番活動や行事での役割分担など、特に年長さんがリーダーシップを発揮していく練習をする場がたくさんありますが、受験で必要だからという理由でその子だけにリーダーシップを発揮する場を特別に作るということはしません。
リーダー格の子も大人しい子も、発達がゆっくりな子でさえ、その子に合った機会を作って、「役割を持って皆を導いたり、お手本となったり」という体験を積めるように保育士は活動を練っています。
そんなアキラ君は実は人前に出るのが苦手なタイプ。
自由遊びのときに「リレーがしたいな」と言うので、「アキラ君が皆に”リレーやろう”って声かけてみたら?」とおすすめしたら、「それは嫌だ」ですって。
「だったらやめよう」とアキラ君と2人で笑っていましたが、ママが見ていたら「先生、ちゃんとやらせてください」って言うかも。
そんなアキラ君も見事、志望校に合格。
小学校受験塾がどのように指導しているのかは筆者は全く知りませんが、アキラ君の頑張り屋な面ややさしさなども試験官の先生はきちんと見てくれていると思いましたよ。
まとめ
保育園が小学校受験のためにできることについて述べてきました。
受験対策をうたっている保育園以外の保育園でできることは、どの園児も平等に、合格しようが落ちようがいつもと同じ接し方で、子どもの拠り所としての役割を果たすことだけです。
どこの小学校に入学するとしても、保育園での楽しい想い出を胸に入学してくれることを願っています。