保育士がスト「運営法人のパワハラで40人超離職」保育園と法人の関係を現役保育士が解説
共働きの現役保育士です。
神奈川県厚木市の保育園に勤める保育士6名が、ハラスメントや助成金の不正受給などに対する抗議と、賃上げを要求するためのストライキを実行したという報道がありました。
参考記事
この保育園では、保育園を運営する法人の管理職員らによるパワハラが横行していたと言います。
今回は、そもそも保育園を運営する法人とは何かまた、保育園との法人との関係性について解説します。
保育園の運営主体の種類
保育園にはその保育園の運営主体が存在します。
以前は市町村・社会福祉法人のみに運営主体が限られていましたが、制限が撤廃され、現在は株式会社やNPO等も保育園を運営することが可能になっています。
参考
- 「保育所設置に係る多様な主体の認可状況等について」厚生労働省
保育園と運営主体との関係性
保育園と運営主体との関係は保育園により様々ですが、保育園で勤務する保育士の体感としては、「大企業とその子会社」や「元請けと下請け」の関係性に近いと感じます。
運営主体からの指示は絶対です。
今回報道されている運営主体が行ってきたようなハラスメントは許されるべきことではありませんが、筆者の勤務園でも運営主体からの指示により、保育士たちが保育以外の様々な仕事をしています。
運営法人からの指示による保育以外の仕事
運営主体の指示により、保育士たちが行っている業務の一例を紹介します。
経費節減のための活動
- 園児が室内でレスリングを始め、壁やパーテーションが破損
- 砂場の砂が風に煽られて少しずつ減ってしまう
- 経年劣化で雨漏りし大雨の日に床がびしょびしょに
- 猛暑のため園庭に屋根を設置する必要がある
などなど、家庭でも、生活している限り家屋のメンテナンスが必要なように、保育園でも定期的に園舎のメンテナンスが必要になります。
このようなメンテナンスには数万円から数百万円までどうしても費用がかかりますが、なかなか首を縦に振らないのが運営法人。
「何社にも相見積もりを取ることを義務付けられ、取った見積もりを運営法人に提出するも、返信すらなく放置されている」と、園長が毎日のようにぼやいています。
運営法人の立場では経費をぎりぎりまで節減し、利益を増やしたいことは理解できますが、保育に最低限必要な経費までも削ろうとする姿に辟易することがあります。
広報活動をする
保育園の公式SNSアカウントを持ち、「〇〇組さんはお散歩に行きましたよ」などと投稿している保育園もあるでしょう。
保育士が主体的にSNSに投稿していることもありますが、筆者の場合は、運営法人による「SNSの運用は必須。毎月〇件以上投稿すること」などの指示に基づいて投稿しているのが正直なところです。
保育士にSNSを運用させていれば、広告費はほぼ無料ですからね。
地域の子育て支援
保育士に求められている職務の一つが、在園児だけではなく地域の子育て支援です。
保育士の数が足りないと言っている保育園なのに、子育て支援イベントなどを企画して「〇〇保育園に是非遊びに来てください」などと広報していることがあります。
このような保育園では、運営法人からの指示で子育て支援イベントを企画していることが多いです。
定期的にイベントを開催できているか運営法人からチェックが入ることがあり、管理職は「またチェックのメールが来た。早く何かやらなきゃ、でも体制が整わない」とあわてています。
まとめ
保育園を運営する法人とは何かまた、保育園との法人との関係性について解説してきました。
保育園選びをするときには保育園見学などをしますが、保育園の運営主体にも目を向け法人や団体自体の理念や評判について評価することをおすすめしますよ。