米でiPhone比率が初の50%超え、サービス成長に寄与
米国で利用されているスマートフォンに占める米アップルの「iPhone」の比率が50%を超えた。香港のカウンターポイント・リサーチが分析したデータを基に英フィナンシャル・タイムズが報じた。
「着実にAndroidからiOSに流れている」
iPhoneの初代機が市場投入された2007年以降、初めて50%を突破した。米グーグルの基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載した他社端末は約150種類が流通するが、それらのシェアの合計値を上回った。
カウンターポイントのディレクター、ジェフ・フィールドハック氏は、「利用者にとってOSの選択は、信念や習慣のようなもので、シェアは突如大きく変化することはない。しかし過去4年間で、利用者は着実にAndroidからアップルのiOSへと流れた。これは大きな節目であり、他の国でも同じことが起きる可能性がある」と述べている。
また、英国の市場調査会社CCSインサイトのアナリスト、ベン・ウッド氏は、「iPhoneのシェアが急に10%や15%伸びるという大きな変化ではないものの、アップルは毎年、静かにゆっくりとシェアを伸ばしている」と指摘する。
全体的なユーザー規模を捉えたデータ
カウンターポイントによると、19年に35%程度だった米国でのiPhone利用シェアは、3年余りで15ポイント上昇し、22年4〜6月に50%超に達した。
この数値は、「アクティブインストールベース」や「稼働台数ベース」などと呼ばれる、実際に使用しているユーザー数を推計したもので、新品の出荷台数とは異なる。
数値には、中古品を購入して使用している人や、1台の端末を長く使い続けている人も含まれる。より広範で全体的なユーザー規模を捉えるもので、意義深いデータだとフィナンシャル・タイムズは報じている。
サービス部門の高収益性に寄与
そして、これがアップルの強みとなっているようだ。アップルによると、iPhoneの稼働台数は20年に10億台を突破した。この顧客基盤は、同社が近年力を入れるサービス部門の成長をもたらしている。
22年4〜6月における、アップル製品・サービス別売上高を見ると、パソコン「Mac」は前年同期比10.4%減、タブレット端末「iPad」は同2%減、ウエアラブル機器は同7.9%減。ハードウエアは軒並み減収だった。一方、iPhoneは同2.8%増の406億6500万ドル(約5兆9900億円)と、減収を回避したものの、増収率は1桁台前半にとどまった。
これに対し、サービス部門の売上高は同12.1%増の196億400万ドル(約2兆8900億円)。同四半期、ハードウエア部門の営業利益率が35%だったのに対し、サービス部門は71%と、高い収益性を示した(アップルの決算資料)。
22年4〜6月に、動画・音楽・ゲーム配信やクラウド、決済、フィットネスなど、アップルのサービスに料金を支払った人は8億6000万人に上った。これは米動画配信大手ネットフリックスの会員数(2億2067万人)と、米ウォルト・ディズニーおよび傘下の動画配信会員数(2億2110万人)の合計を優に上回っている。
アナリストによると、スマホの世界市場では依然Androidが先行している。しかし、このことはアップルが市場シェアを拡大する余地が十分にあることを示しているという。
- (本コラム記事は「JBpress Digital Innovation Review」2022年9月7日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)