【発達障害】運動会はどうせビリ!走りたくない。そんな気持ちを変えた出来事【保育士ママが漫画で解説】
こんにちは。発達と育児のケアサポーター『夢カナエ』です。
わたしは保育士・幼稚園教諭と介護福祉士の資格を持つ、神経発達症(発達障害)の子の親でもあります。
まだまだ残暑が感じられるこの頃ですが、今年も秋の運動会シーズンがやってきましたね。
毎年この時期になると、太郎くん(仮名)の6年生の運動会のことを思い出します。
太郎くんは、小さな頃から不器用で、何をやっても上手にできず、そのたびに叱られることが多かったのです。
そんな幼少期の体験が影響したのでしょうか。
何事もやる前から、出来るか出来ないかを決めつけてしまうクセがありました。
そして、一旦出来ないと判断したら、かたくなに拒否し、担任の先生を困らせてきました。
6年生の春。体育の課題は短距離走でした。
足が遅いことにコンプレックスを持っていた太郎くんは・・・
走る前から苦手意識が勃発!!
運動場に行くことすら拒否したのです。
昔の学校だったら、先生から頭ごなしに
「そんなワガママはダメだ!みんなと一緒に走りなさい!」
と、怒鳴られていたかもしれません。
しかし、今の小学校ではそんなことは言われません。安心してください。
先生は太郎くんに
「君はどんなことなら参加できるかな?」
と聞いてくれました。
「じゃあ、ゴールテープを持ちます」
と言うと、
「それはいいね、助かるよ。ありがとう!」
先生は太郎くんに感謝して、役割を与えてくれました。
太郎くんの考えを否定したり正そうとせず、そのまま受け入れてくれたのです。
「テープ持ち、よろしくね。もし、走りたくなったら、いつでも言ってね!」
そんな先生の反応に、彼はビックリ!!
太郎くんは、先生が自分の気持ちを理解して、受け入れてくれたことで、とても安心できたのでした。
それからは、運動場から逃げ出すこともなく、ゴールテープ係をがんばっていたそうです。
「がんばれー!がんばれー!」
と友達を応援しているうちに・・・
どうしても短距離走をやりたくなかった気持ちが、少しずつ変化していきました。
太郎くんは先生に
「今度の体育で、僕も一度走ってみようかな」
と言ったそうです。
もちろん先生は大歓迎!
「次の体育が待ち遠しいね。頑張ろうね。」
とエールを送ってくれました。
とは言え、これまでかたくなに走ることを拒んできた太郎くん。
スタートラインでは、心臓がバクバクでした。
「もしかしたら、友達にバカにされるかも」
「遅いって、みんなに笑われないかな?」
そんな不安な気持ちでいっぱいでした。
「いちについて。よーい どん!」
クラスメイトは必死に走る太郎くんを、大きな声で応援してくれました。
「がんばれー!太郎君、もう少しだよー!」
そんなお友達の応援が、太郎くんにはとても嬉しかったようです。
声援に後押しされて、ゴールイン!
テープを切る気持ち良さを、生まれて初めて感じることができました。
ゴールのあと、クラスのみんなからほめられ、先生にもほめられて、家に帰って家族みんなからほめられました。
こんなにたくさんの人にほめられたことも、太郎くんにとって生まれて初めての体験でした。
この経験が、太郎くんの心の成長の始まりとなりました。
『みんなが応援してくれた』
『誰も自分をバカにしたりしなかった』
その事実から、
「失敗してもいいんだ」
「自分らしくやればいいんだ」
と気づいたようです。
秋の運動会では、ハードルを飛び越える障害走にチャレンジすると決心しました。
春の体育では、運動場に行くことさえ嫌がった彼が・・・
秋の運動会では、ハードルを倒しながらも、ゴールまでたくましく走り切る太郎くんの姿がありました。
クラスメイトと先生のあたたかい声援が、太郎くんの走りを後押ししたことは、言うまでもありません。
太郎くんの一年の成長につくづく驚き、先生とお友達に、心から感謝する母なのでした。