J2優勝・J1昇格を決めた町田ゼルビアのサポーターイベントが開催。今シーズンのベストゲームも発表!
今季躍進したFC町田ゼルビア。ファン・サポーターの集いから見えてきたもの
スポーツビジネスにとって最も大事な存在は誰だろうか?
選手やアスリート、監督やコーチ、経営者、スタッフ…その視点で書かれる記事や書籍は山のようにある。果たしてそうなのだろうか。
Yahoo!ではシーズン開幕前の合宿からFC町田ゼルビアを取材し3部作として発信して好評を得た。今回はその特別編としてお送りする。
スポーツ本来の主役は「ファン」「サポーター」「ブースター」たちという観点から、クラブのご好意もあり、まさに今年からスタートしたファンクラブの集いである「クラブゼルビスタ共闘交流会2023」は今回で3回目、メディアとして初めて参加させていただいた。会場は町田市内のペダラーダ、チームのスポンサーでもありサポーターには馴染みのお店だ。
イベントはゴールド会員で参加希望の方から15名が選ばれ開催された。来年度の新シーズンからは月一度の開催なども検討されており、クラブスタッフとの交流だけでなく、直接クラブ側へ思いや意見などを伝える貴重な機会となる。
また、今回の記事では今シーズンのベストゲームのアンケート結果の発表もクラブと並行して進める。Jリーグ、そして日本のサッカーの歴史に名を刻んだFC町田ゼルビアの快挙に、ファン・サポーターは何を思い、どう応援してきたのだろうか?
(*注:記事中の写真・画像で特に出典の明示がないものは筆者の撮影・提供)
今シーズンのベストゲーム「TOP10」を発表
まずは今シーズンのファン・サポーターのアンケート結果による今シーズンのベストゲーム上位10の発表だが、以下となった。
3位に天皇杯3回戦の横浜F・マリノスとの試合が入ってるのもサポーターならではだ。来季はリーグ戦でも真っ向勝負の相手となるが、アクセスも近く、「多摩川クラシコ」のような新しいダービーとしての名称なども必要かもしれない。
激闘だった国立競技場(ホーム戦)での一戦、5位の東京ヴェルディとの試合も忘れられないサポも多いだろう。好ゲームだった試合内容もだが、特別な試合会場で、38,402人の観客数を集めたスタッフの尽力をまず評価したい。これは並大抵の努力では成し得ない数字だ。このカードも来シーズンではJ1の舞台で見られることとなった。
果たして来季の試合内容や結果はどういったものになるだろうか。今から楽しみである。
サポーターの声、スタッフへの意見、来シーズンへの思い
「J2優勝、J1昇格、おめでとうございます!」
交流会はCOOの上田武蔵さんの挨拶の第一声から始まった。野本倫央課長から趣旨の説明、スタッフ一人一人からの挨拶、そして上田COOから今シーズンの振り返りと乾杯の音頭という流れだ。趣旨は以下となっている。
◯クラブスタッフとサポーターが交流をする場
◯NEXT STAGEへ共闘を体現する場
◯サポーター同士が交流する場
また、SNSでの発信や過度に飲みすぎないなどのルールはあるが、社会人としては一般的なものばかりだ。サポーターはいくつかのテーブルに分かれて、必ず一つのテーブルにはスタッフが参加して一緒に語り合い、意見や提案を聞く。時間がくればスタッフは他のテーブルへ移動しながらローテーションしていく形である。
サポーターの思いもそれぞれで「来年はJ1のサポーターが大挙してやって来るが交通機関などは大丈夫なのか?」「来シーズンの補強は?」「エリキ選手の怪我の状態は?」など質問が相次いだが、一つ一つ丁寧に対応し、答えられるものはしっかり回答し、内容によってはスマホでメモを取るスタッフの姿が印象的だった。
女性サポーターからの貴重な意見
なかでも貴重だと感じたのは女性サポーターからの多くの声だった。ここでは字数の面から一部しかアップできないが紹介していきたい。
真咲さんはボランティアからサポーターとなったストーリーを持つ女性だ。来シーズンへの希望を、こう話してくれた。
「良くも悪くもゼルビアは変わらないでいて欲しいんです。黒田監督が来られて結果を残された、これは素晴らしい事です。
一方で「変容」、多くの選手も入れ替わりクラブも大きく変わりました。それが最初は怖かったんです。でも、J1に上がるには変わらないといけない。でも、選手とサポーター、スタッフとサポーターが物理的にも精神的にも近いのが町田らしさだと思います。もちろん大所帯になればなるほど難しくなるのは分かりますが、そこがゼルビアの良さです。
黒田監督が言われた『家族みたいなチーム』という言葉を借りるなら『家族みたいなクラブ』『家族みたいなサポーター』を残して、これからもいい時も悪い時もクラブと一緒に乗り越えていきたい」
端的に町田ゼルビアの良さを語ってくれた真咲さん。あと、女性ならではの視点かもしれないが「推し活」を広く認めて欲しいという意見も。
「以前はサポーターも少なかった。だから理由が何であれ、その選手を応援したくて、その選手が在籍しているチームが好きという人がいっぱい来て欲しい。いわゆる「推し活」のサポーターが沢山いてもいいじゃないですか。そういった方々を否定しないで欲しいんです、受け入れて欲しいんです」
確かにJ1に昇格したからといってサポーターの数が一気に増えることはない。門戸はあらゆる可能性を考えて、いつも広く開いておくべきだろう。こういった女性サポーターの声は大事にしていけたらと思わされた。
FC町田ゼルビア後援会 石黒修一さんの存在感
「こんなに叩かれるとは思ってませんでしたね(笑)」
そう語るのはFC町田ゼルビア後援会 石黒修一さんだ。
毎年開催されるサポーターカンファレンス主催の中心人物でもある。この言葉は、今まであまりメディアやSNSでも叩かれる事がなかった町田が、今季は名門・清水エスパルスのサポーターからも叩かれた。それだけ町田が強くなったと認識したという意味だ。
2018年シーズンの優勝争いを熱く語る姿は、ご意見番的な存在そのものであった。そんな石黒さんに今季のベストゲームについて伺ってみた。
「アウェイの秋田戦です、断トツ1位です。あの試合は緊張感と張り詰めたものがずっと90分続いていた。試合が終わった瞬間に腰が抜けましたね。あれで俺たちは行ける!(優勝できる)と思いました」
一方、今年24歳のサポーター、YouTuberでもあるこーたろうさんにもお話を聞いてみた。年齢こそは若いがサポーター歴14年である。そもそもゼルビアを応援するきっかけは何だったのだろうか。
「2010年9月5日の天皇杯、東京ヴェルディ戦なんです。父親と二人で西が丘のゴール裏で見た、山腰(泰博)選手のゴール。あれが決まった瞬間、父親と抱き合いましたよ。今でも忘れられないシーンです」
それからゼルビア一筋、YouTubeで観戦体験などを発信している。実はこの時の天皇杯の試合、サポーターの間では伝説の試合である。当時Jリーグのライセンスを持っていなかったゼルビアが名門ヴェルディに勝利するというジャイアント・キリングを引き起こした。これがきっかけでファンになったサポーターは、こーたろうさん以外にも多い。
来シーズン、このイベントの毎月開催を検討
「民の声は神の声」、と言われる。
スポーツチームにとって、それはファン・サポーターの声に違いない。今回多くの声を聞いたがこの記事では一部の掲載とする。また次回掲載の機会をつくっていきたい。
いずれにしても多くのサポーターにとって最高の1年だった今シーズンだが、リアルに熱量を感じる場となった。こういった機会をつくって下さったクラブに感謝の気持ちを表したい。このイベント、クラブは来シーズンに可能であれば月1回は開催したいと検討しているようだ。
来シーズンはJ1という新たなステージ。FC町田ゼルビアの新しい船出は一体どのようなものになるだろうか。ゴールド会員の抽選にも応募してもらい、こういった会にも参加してもらえたらと思う。また、来季もリアルにファン・サポーターの声を聞いていく。
◯会場はこちら
ペダラーダ
(了)