高齢者が自宅で暮らすための新技術、フィンランドから
フィンランドの高齢者向けデジタルヘルスケアが進化を遂げています。最新の技術を駆使して、高齢者が自宅で安心して生活できる環境を提供しようとする取り組みが各企業で進んでいます。
ここでは、「ヘルシンキ・ラディカル・ヘルス・フェスティバル」で紹介された、いくつかの代表的な自治体・企業とその取り組みをみてみましょう。
高齢者が自宅で安心して生活できる環境を目指して
遠隔在宅ケア拡大へ
フィンランド南部ウーシマー西部にあたるウェルビーイングサービス群では、遠隔ケア技術を活用した新しいホームケアユニットの拡充に力を入れています。自治体が協力してサービスを提供することで、高齢者がより長く自宅で生活できるようにする取り組みです。
同郡のシニアアドバイザーであるミカ・フィスカリさんは、2026年までに1000台の薬自動分配ユニットを導入し、遠隔ホームケアの割合を20%に引き上げることを目指していると説明しました。
テクノロジーによって高齢者が正確に薬を摂取できるよう支援することで、介護者の負担が軽減されるとともに、高齢者の自立した生活が促進されます。
ワイヤレス遠隔介護
Everon社は、簡単に設置できる「プラグ・アンド・プレイ」方式のソリューションを提供しています。このシステムは、配線工事が不要で、通常の電源プラグに接続するだけで使用できます。
高齢者の日常活動をモニタリングする技術により、医療従事者はリアルタイムで患者の状態を把握し、適切なタイミングで迅速な介入を行うことが可能になります。ユハ・サルサマCEOは「データを収集することで予防医療が可能であり、データ利用が進むことでヘルスケアの風景が変わる」と語った。
センサー技術で事故を未然に防ぐ
Vivago社は、高齢者のウェルビーイングを向上させる機器やサービスを提供しています。高齢者の日常活動を観察し、異常が発生した場合には警告を発するシステムです。
介護職員や家族に安心を提供し、高齢者自身も自分の状態を把握する助けとなります。現在、欧州各国で導入が進んでおり、900以上の介護施設で利用されています。
より計画的でタイムリーな訪問介護を可能にし、看護スタッフは、入居者のケアという本質的なことに集中することができます。
薬の自動分配サービス
Evondos社は薬の自動分配サービスの導入によって高齢者が正確なタイミングで薬を摂取できるよう支援しています。このサービスにより、介護の効率が向上し、介護職員の負担も軽減されます。
具体的には、映像通話を組み合わせることで、薬の摂取をサポートし、利用者が正しい量の薬を適切なタイミングで摂取できるようにしています。これにより、「誰かが誰かの家に行き、薬を渡し、飲むのを確認する」労働をしなくてよくなり、薬の過剰摂取や誤用のリスクが減少し、医療費の削減にもつながります。
北欧の高齢者ケアの未来
北欧では、高齢者はできる限り長い間、自宅で暮らすことを選びます。
医療従事者が不足することが確実な未来において、高齢者が自宅で安全かつ独立して生活できる環境を整えるために、鍵となるのは技術革新です。
デジタルヘルスケアの進展により、いかに高齢者とその家族、介護職員の負担が軽減され、全体的な生活の質が向上するか。テクノロジーの力を最大限に活用しようと、フィンランドのデジタルヘルスケアは急速に進化中です。