【池袋】ひき逃げ映像公開から3日 男は今も逃走中 自転車も重大事故の加害者に
12月9日、以下の記事の中で自転車による歩行者ひき逃げ事故の瞬間映像を公開しました。
【ひき逃げ】瞬間映像公開 自転車が歩行者に衝突「やべぇ」男は現在も逃走中(柳原三佳) - 個人 - Yahoo!ニュース
事故が発生したのは2022年10月18日午後3時半頃。現場は南池袋3丁目の横断歩道です。
信号無視の自転車が横断歩道を横断中の女性に激しく衝突し、二人とも路上に転倒。しかし、自転車の男性は起き上がれずにいる被害女性を救護しようともせず、そのまま逃走する様子がはっきりと映されています。
この動画は現在もTwitter等で広く拡散され、多くの方々から、逃走したひき逃げ犯に対する怒りのほか、被害者を気遣うメッセージが寄せられています。
しかし、公開から3日が経過する今も、ひき逃げ犯は出頭しておらず、警察からも犯人逮捕の連絡は寄せられていません。
■ひき逃げ事故の被害者は「交通事故遺族」だった
実は、前回の記事では書きませんでしたが、今回、自転車にはねられた被害者の女性・Aさんは、数年前、大切な家族を交通事故で奪われたご遺族です。
それは「死人に口なし」ともいえる悔しい事故でした。この事案を取材したことをきっかけに交流が続いていたことから、今回、Aさんは私にご自身のひき逃げ被害について相談の連絡をしてこられたのです。
交通事故で最愛の人を亡くし、人一倍交通事故を恐れていたにもかかわらず、ご自身までこのような被害に遭う……。
その現実は、交通事故の危険がいかに身近な場所に潜んでいるかを痛感させられる出来事でもありました。
そして、Aさんとお話しする中で、その辛さや苦しさが強く伝わってきました。
Aさんは語ります。
「奇しくも同じ10月18日、事故に遭われた仲本工事さんは、残念ながらお亡くなりになりました。私の場合は加害者は自転車でしたが、ひとつ間違えば 自転車事故でも死亡事故に繋がります。私は幸い、生きていたので事故の状況を話すことができます。でも、死んでしまうと話すことはできません。だからこそ、今回のひき逃げ映像と共に、一瞬の事故の恐ろしさとルールを守ることの大切さも伝えていきたいのです」
■自転車事故は7.5分に1件の割合で発生
免許がなくても気軽に乗れる「自転車」が起こした今回のひき逃げ事故。それだけに、自転車ユーザーや子どもに自転車を与えている保護者の方々からは、
といった、不安の声が数多く寄せられています。
警察庁の調べによると、昨年(2021年)に発生した自転車乗車中の交通事故は、6万9694件。およそ7.5分に1件の割合で発生していることになります。
また、自転車事故による2021年の死傷者数は、6万8114人でした。これは、交通事故全体の18.7%にあたります。
国はかねてから「自転車の安全利用の促進」をはかるため、道路交通法の改正など各種対策を取ってきたのですが、それでもルールを守らない悪質な自転車による事故や、そうした行為に対する批判が相次いでいるため、今年(2022年)11月1日、道路交通法を改正。「自転車安全利用五則」を打ち出し、自転車ユーザーの悪質・危険な交通違反に対する指導及び取締りを強化するとともに、地域の交通安全活動推進委員等と連携して、自転車の安全利用を促進するための活動を推進しています。
では、「自転車安全利用五則」とはどのようなものなのか、ここで改めて紹介しておきたいと思います。
【自転車安全利用五則】
1)車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先
2)交差点では信号と一時停止を守って、安全確認
3)夜間はライトを点灯
4)飲酒運転は禁止
5)ヘルメットを着用
それぞれの項目の詳細や、違反した際の罰則等については、内閣府のサイト『自転車の安全利用の促進について - 内閣府』 に掲載されていますので、自転車に乗っている人、また子供が自転車に乗っているという保護者の方々は、この機会にしっかりと目を通しておいてください。
■自転車の信号無視は、3ヶ月以下の懲役も
内閣府のサイトには、次のように記されています。
<信号機のある交差点では、信号機の表示する信号に従わなければならない。「歩行者・自転車専用」と表示されている信号機のある場合は、その信号機の表示する信号に従う。>
このルールに違反した場合は、以下の罰則が科せられます。
•【該当規定】道路交通法第7条
•【罰則】3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金等
また、自転車には「安全運転の義務」も課せられています。
<ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路及び交通等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。>
■自転車も法律上はれっきとした「車両」
自転車は「道路交通法」において「軽車両」と位置づけられており、れっきとした車両です。法律に違反して事故を起こすと、運転者は自動車による事故と同じく、刑事上の責任に問われます。
また、相手にケガを負わせた場合は、当然のことながら治療費や慰謝料など、民事上の損害賠償責任も負うことになります。
自転車だから大きな事故は起こらないだろうと思っていたら、大間違いです。実際に、自転車による加害事故で被害者が死亡したり、重度障害を負ったりする事故も発生しているのです(*今回は詳しく触れませんが、自転車には車のように「自賠責保険」がありませんので、万一に備えて「個人賠償責任保険」に加入しておくことをお勧めします。以下参照 )。
『1か月わずか103円で1億円までの賠償金支払いが可能 「自転車保険」で事故に備える』
そして、忘れてはならないのが、「道義的な責任」です。自分の過ちで事故を起こしたら、被害者を救護することはもちろん、誠実に謝罪し、相手がけがをした場合はきちんと見舞う必要があります。
「ひき逃げ」は、そうしたすべての責任から逃れようとする、極めて悪質な行為です。
Aさんは語ります。
「多くの方がきっと同じように泣き寝入りを強いられてきたことと思います。でも、こんな卑怯なことを許してはいけないと思っています。たかが自転車事故、では済まされません。皆様のご協力に心より感謝しています。引き続き情報の提供など、どうぞよろしくお願いいたします」
<ひき逃げ事件詳細と犯人の特徴>
●発生日時/2022年10月18日午後3時27分頃
●事故現場/東京・南池袋3丁目の横断歩道
●犯人のルート/池袋駅方面から目白方面へ走行中に事故。そのまま目白方向へ。その後、路地へ入って逃走
●犯人の特徴/20歳くらいの男性
●自転車/赤色のスポーツタイプの自転車
●着衣/黒い上着
●連絡先/目白警察署 交通捜査課係 03‐3987‐0110 (内線4252)