ベンツ、フェラーリ、BMW…「高級車」による高速暴走死亡事故はどう裁かれてきたのか #専門家のまとめ
大分で起こった時速194キロ死亡事故。当初、加害者は「過失」で起訴されていたが、危険運転致死罪へ訴因変更され、11月5日、発生から3年9カ月たってようやく刑事裁判が始まった。しかし、被告側は「危険運転」を否認し「過失」だと主張。28日の判決に注目が集まっている。
実はこれまで超高速度による事故の多くが「過失」で裁かれてきた。「衝突するまでまっすぐに走れていた=制御できていた」というのがその理由だ。
一方、複数の事案に「高級車」という共通項がある。この事実をどう見るべきか。最近の判決をまとめた。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
上記で紹介した死傷事故は、どのような車によって引き起こされたものだったのか、その車種とドライバーの年齢等は以下のとおりだ。
●大分194km/h死亡事故(制限時速60)/BMW(2シリーズクーペ)/19歳/危険運転致死罪で係争中
●三重146km/h死傷事故(制限時速60)/メルセデスベンツ(排気量約3500cc)会社社長/58歳/過失で懲役7年
●千葉115 km/h死亡事故(制限時速40)/メルセデスベンツ/千葉県警・刑事/30歳/過失で執行猶予
●広島120km/h死亡事故(制限時速50)/フェラーリ/医師/36歳/過失で執行猶予
BMW、ベンツ、フェラーリ…、いずれもスピードメーターは250km/h以上刻まれ、頑丈な車体を備えている欧州製の高級輸入車だ。直進安定性は高く、アクセルさえ踏めば200km/hを超える速度でも十分に走行できる性能を有している。高速度でも事故直前までまっすぐに走れるのはある意味当然だ。
危険運転致死傷罪の条文には「危険運転」とみなされる速度について「進行を制御することが困難な高速度」と記されているが、その「高速度」は車種によって明らかに異なる。
一般道で30キロオーバーすれば「一発免停」だ。この処罰の意味はどこにあるのか。車の性能ではなく、危険を顧みず、著しく法を無視したドライバーの順法意識こそ厳しく問われるべきだ。