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「福田秀平さんに捧げる」“苦労人”平間凛太郎の初先発勝利で5カードぶり勝ち越し!【週刊くふうハヤテ】

菊田康彦フリーランスライター
1日の楽天戦に先発して勝利投手になったくふうハヤテの平間凛太郎(筆者撮影)

 今シーズンからプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグに参加している新球団、くふうハヤテベンチャーズ静岡。先週は7月30日から8月1日にかけてホームグラウンドのちゅ~るスタジアム清水(略称ちゅ~るスタ)でイースタン・リーグの東北楽天ゴールデンイーグルスとファーム交流戦3連戦、8月2日から4日は静岡県営愛鷹球場で中日ドラゴンズと3連戦を行なった。

対楽天:30日〇7対2 31日●0対5 1日〇3対1

 30日の試合は初回に三番ジェリンソン・バスケス(カープアカデミー)の1号2ラン、2回には一番・増田将馬(ますだ・しょうま、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックス)の適時打で序盤から主導権を握ると、先発の西濱勇星(にしはま・ゆうせい、オリックス・バファローズ育成)が7回1失点(自責点0)の快投。打線も効果的に加点し、7月9日の阪神タイガース戦(阪神鳴尾浜球場)から2引き分けを挟んで続いていた連敗を9で止めた。西濱は今季4勝目(6敗)。

 31日の2戦目は楽天先発の岸孝之らに打線が抑え込まれ、月間3度目の完封負け。だが、月が変わった1日は再び序盤からリードすると、今季29試合目の登板にして初の先発マウンドに上がった平間凛太郎(ひらま・りんたろう、メキシカン・リーグ、メキシコシティ・レッドデビルズ)が打たせて取るピッチングで6回1失点。2番手の左腕、奥田域太(おくだ・かなた、星城大)も3回を無失点に抑え、7月2日から4日のオリックス・バファローズ戦(ちゅ~るスタ)以来、5カードぶりに勝ち越した。平間は2勝目(2敗)、奥田域は初セーブ。

平間「秀平さんはすごい尊敬できる先輩なので、今日は絶対に勝ちたかった」

 今季初の先発登板を白星で飾った平間は、専修大学卒業後は社会人、独立リーグ、メキシカン・リーグと国内外のチームを渡り歩いた“苦労人”。2月の追加トライアウトを経てくふうハヤテに入団すると、前半戦はすべて救援でチームトップタイの28試合に登板して1勝2敗2セーブ、防御率2.45の成績を残した。

 自ら「30歳でNPBを目指すっていう、一見すると頭おかしいヤツなんですけど」と笑うが、今秋のドラフト指名に向けて可能性を少しでも広げるべく先発転向を志願。「オリャー!!」と雄たけびを上げながら投げ込む姿はこれまでどおりだったが「独立リーグやメキシコでやってた時のピッチングスタイルと、僕がNPBで通用するスタイルが全く違うってことを前期に学んだ」と、この日はゴロを打たせることを意識して見事に3併殺を奪ってみせた。その平間を奮い立たせたのが試合前に行なわれたプロ18年目のベテラン、福田秀平引退会見だ。

「秀平さんは『お前、絶対可能性あるから諦めるなよ』とか『年齢は関係ないから、そのまま突き進めよ』って言ってくれて、それが嬉しかったんです。すごい尊敬できる先輩なので今日は絶対に勝ちたかったんで、秀平さんに捧げる1勝になって良かったと思います」

対中日:2日△0対0 3日●3対8 4日●8対11

2日の試合前に差し入れられたうな重弁当に舌鼓を打つくふうハヤテの赤堀元之監督(筆者撮影)
2日の試合前に差し入れられたうな重弁当に舌鼓を打つくふうハヤテの赤堀元之監督(筆者撮影)

 試合が行われた沼津市と同じ静岡県東部、伊豆の国市にある公共の宿「おおとり荘」からうな重弁当と豚汁が差し入れられた2日は、前日に続いて投手陣が奮闘。巨人から派遣されてこれが初先発の木下幹也(きのした・もとや)が6回を無失点に抑えると、4人の救援陣も中日に得点を許さず、延長10回の末スコアレスの引き分けに持ち込んだ。

 続く3、4日の試合は、対照的に先発が序盤から崩れて連敗。それでも3日は6回裏に四番・西川僚祐(千葉ロッテマリーンズ)が一時は2点差に詰め寄る3号2ランを放つと、4日も2対10の劣勢から中日先発の柳裕也を攻め、5回に四番・西川の走者一掃の3点三塁打、五番・倉本寿彦(日本新薬、元横浜DeNAベイスターズ)の適時二塁打などで一挙5点を返す粘りを見せた。敗れはしたものの、赤堀元之監督も「打てるボールをしっかり打ってくれた。(チャンスで)あともう1本ですけど、その中でもバッターがしっかりと繋いでくれたのでいい戦いになったと思います」とうなずいた。

 これでくふうハヤテは84試合を消化して22勝55敗7分け、勝率.286でウエスタン・リーグ6位。5位の広島東洋カープには8ゲーム差をつけられている。今週は8日まで試合がなく、9日からはここまで7勝8敗1分けと互角の戦いをしているオリックスをちゅ~るスタに迎えて3連戦を行なう。

(くふうハヤテの選手名後のカッコ内は読みがな、前所属。文中の今季成績等は8月5日現在)

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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