イタリアでは生卵に砂糖を入れて食べる習慣がある!?
2018年10月1日から11日までイタリアを取材して、記事「ビュッフェの残りをなぜ寄付できるか イタリア食品ロス削減の最前線」を書いた。
取材の際、トリノ発祥のスーパーマーケットであるイータリーを訪問したところ、卵が販売されていた。
取材に同行してくれた、ERICA社の女性職員、Giada Fenocchio(ジャーダ)さんに、「日本では卵を生で食べることがあります」と話したところ、「イタリアでも生で食べる風習があるんですよ」と言われた。
滋養をとる目的で子どもが砂糖やココアを混ぜて食べる
「どんなふうにして食べるのですか?」と聞くと、小さい子どもが滋養をとる(身体の栄養になるものを摂取する)目的で、砂糖やココアを混ぜて食べるのだという。
え?甘くするんですか?と驚いた。
取材に同行してくれていたもう一人の女性スタッフ、Giulia Tesio(ジュリア)さんも、横から「そうそう」と会話に加わる。
ただし、大人は食べない、という。「子どもの時に食べたよねー」と、ジャーダさんとジュリアさんが意気投合していた。
小学生以上の子どもが砂糖や牛乳を入れて食べる
帰国してから、日本語の話せるイタリア人女性、RITA(リタ)さんに、再度、確認してみた。
彼女も小さい頃、生卵をかき混ぜて、砂糖や牛乳を加えたものを食べたという。
「でも、生のものって、免疫力の弱い子どもが食べても大丈夫なんですか?」と聞いたところ、乳児などの小さい子どもではなく、小学生以上の子どもが食べる、とのこと。
イタリアの最大手食品企業バリラ社では鶏(にわとり)に負担をかけない飼い方を重視
イタリアの最大手食品企業であるバリラ社では、鶏舎(にわとり小屋)ではなく、開放的な農場で飼っている鶏(にわとり)の卵を主に使っている。その割合は、卵全体の使用量のうち、実に94%を占める。このことは、バリラ社の公式サイトで公開している。
日本の食品関連企業の公式サイトでは、「安全性に留意している」という対策は見るが、卵を産み出す鶏(にわとり)への負担を少なくする対策を目にすることは、まだ少ない。
イタリア・ミラノのCOOPでは鶏(にわとり)の飼い方についてもポスターで紹介
鶏(にわとり)に負担をかけないことを重視しているのは食品メーカーだけではない。小売店である、イタリア・ミラノのCOOPでも、薬品などを使わずに鶏(にわとり)を飼っていることを広報する目的のポスターが掲示されていた。
鶏(にわとり)が24時間以上かけて産み出した卵
日本では、レストランなど法人向けに販売する卵の場合、夏は16日以内、冬は58日以内などと、季節によって賞味期限を変えている。
しかし、われわれ一般人がスーパーやコンビニなどで購入する卵は、賞味期限は一律2週間だ。産卵から7日以内にパックされ、パックされた日から2週間と決まっている。しかしこれは、「夏場に生で食べられるのが2週間」という、最も過酷な条件に合わせて設定されたものだ。火を通せば十分に食べられるにもかかわらず、かなり前の日付で賞味期限が設定されている、ということになる。
市販されている卵のパックの表示を見ると、「賞味期限が過ぎたらすぐ捨てなさい」とは書いていない。「加熱調理するなどしてお早めにお召し上がりください」と書いてあるはずだ。
実際には、このことを知らずに廃棄され、多くの卵が食品ロス(フードロス)になっているのではないかと推察される。
イタリアでは20日以上の賞味期間が設定されていた
イタリアで流通する卵の表示を解読するサイトによれば、2018年10月5日にイータリーで販売されていた、筆者が目にした卵の賞味期限は10月24日。この時点でもまだ、20日間の賞味期間がある。
鶏(にわとり)は、24時間以上かけて、1個の卵を生み出す。無理に、でなくて構わないので、最後まで、ちゃんと食べてあげたい。