『ラブライブ!虹ヶ咲』Kアリーナ横浜で2万人ライブ! 劇場完結編は沖縄が舞台?
東京の秋葉原、静岡県沼津市など、様々な舞台で物語を繰り広げてきた「ラブライブ!」シリーズ。2017年からは、東京のお台場地区を舞台にしたシリーズ3作品目の『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(『虹ヶ咲』)の展開が続いており、20年と22年にはTVアニメ化もされました。
他のスクールアイドルの活躍を前面に描いた「ラブライブ!」シリーズの例に漏れず、音楽を軸とした作品展開が特徴で、これまで音楽ライブも積極的に展開しています。
24年1月13日(土)と14日(日)には、「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 6th Live! I love You You love Me」(6thライブ)の神奈川公演が横浜市のKアリーナ横浜で実施され、約2万人の観客が世界中から集まりました。
4年ぶりの単独全体声出しライブ
6thライブでは、23年10月に発売した5thアルバム『Fly with You!!』の楽曲を中心に、ライブで未発表だった20曲以上が初披露されました。『Fly with You!!』は愛をコンセプトにした楽曲13曲が収録されており、6thライブ自体も愛の交換をテーマにした演出となっています。
実は6thライブは、「ナンバリングライブ」と呼ばれる単独の全体ライブでは、19年12月の1stライブ以来の声出しライブとなりました。コロナ禍を経て、ライブの声出し自体は『虹ヶ咲』単独では23年2月のユニットライブから解禁されていたのですが、ナンバリングライブでは6thライブを待つ形になりました。
6thライブは1月の神奈川公演の前に、23年12月23日・24日に愛知県公演が開かれており、ここでは実に4年ぶりの単独全体声出しライブとなりました。『虹ヶ咲』では12人のスクールアイドルがソロとして活躍しており、全員が同時にステージの上に立つ機会は限られています。そのため、ファン待望のナンバリングライブだったと言えます。
6thライブ神奈川公演では、全体の曲構成は愛知公演と変わりませんでしたが、一部の曲が正月らしさを出したものに差し替わっていました。愛知公演ではクリスマスを前面に出した演出があり、いずれも季節を感じさせる演出となっていました。
また、Kアリーナでは上階両サイドにあるバルコニー席にもキャストが行く演出が複数回あり、ステージから離れた上層階の観客にも楽しませる演出があったのが特徴的でした。
待望だった2万人規模の会場
今回会場として使われたKアリーナは、23年9月にできたばかりの施設で、「ラブライブ!」シリーズの音楽ライブで使われるのは初めてのことです。
Kアリーナの特徴として、最大約2万人が収容できる大規模な会場だという点です。首都圏をはじめ、全国に多くのライブ施設がありますが、1万人以上を収容できる音楽ホールは実は限られています。そして1万人以上を収容できるアリーナの多くは、端にステージを設置する一般的なライブ形式では1万人から1万5000人程度の収容定員に留まっていました。これ以上の大きさのライブ会場になると3万人規模以上のドーム球場まで飛躍してしまい、中間となる2万人規模の音楽ライブができる会場が望まれていました。
Kアリーナは音楽や舞台に特化した施設でありながら最大収容2万人を誇り、世界最大級の音楽特化型アリーナを謳っています。筆者も6thライブに2日間参加しましたが、会場の広さの割に音響が良いのが特徴でした。
横浜駅などからKアリーナへの歩行者通路がまだ完成しきれてなく、一部では、帰りの退場者による混雑から「横浜駅まで徒歩10分のところが2時間かかった」という報道も見られました。6thライブでは確かに帰りの混雑の酷さは感じたものの、2時間かかることは決してなく、横浜駅までは徒歩でも遅くとも30分はかからずにたどり着けた感じです。
会場運営側の動線設計が昨年よりも改善されていた点や、参加者側でも事前の報道により帰路を分散する動きもあったと考えられます。また、会場内の7階にあるバーラウンジで終演後にファンが楽しむ様子もあり、帰りの動きが一つに集中しなかったのも功を奏したように思います。
劇場“完結編”が9月公開
6thライブ神奈川公演では、2日目に新情報が大きく3つ発表されました。1つ目が、「7thライブ」の開催が発表された点です。実は「ラブライブ!」シリーズの作品では、7thライブの開催まで発表した例は初めてになります。初代のμ'sや2作目のAqoursでも7thライブ開催までには現時点で至っておらず、ファンからは様々な反応がありました。
2つ目が、ニンテンドースイッチでのビジュアルノベルゲーム発売の発表です。これは、19年9月から23年6月末まで配信されていたスマホゲーム『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』(スクスタ)の後継とも言える作品です。『スクスタ』は『虹ヶ咲』の原作と言える作品であり、展開の再開を待ち望む声が根強くありました。
このビジュアルノベルゲームでは、『スクスタ』のストーリーパートに絞った作品と考えられており、プレイヤーの生き写しである「あなた」が『スクスタ』ぶりに復活したことに、会場は一番の盛り上がりを見せました。
そして最後の主な発表が、アニメの続編に関する発表です。『虹ヶ咲』のアニメは既に劇場上映シリーズ3部作での展開が発表済ですが、この3部作第1章の公開日とタイトルが発表されました。
映画のタイトルは『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』で、9月6日(金)の公開を予定しています。「完結編」と銘打っていますが、これはあくまでTVアニメシリーズ本編としての「完結編」を指しています。キャストの何人かもあくまでアニメシリーズの完結に留まることを弁明しており、『虹ヶ咲』としての展開の「完結」を指すわけではないことを説明していました。
『虹ヶ咲』の運営は「NIJI-VERSE(ニジバース)」という、マルチバースをもじった造語を打ち出しており、今後も複数メディアでのシリーズ展開を打ち出しています。同じTVアニメでも、4月から『にじよん あにめーしょん2』の放送が決定しています。
「ラブライブ!」シリーズでは、初代のμ'sがアニメシリーズの展開終了と同時期の15年12月に活動休止を突然発表していることから、展開の終了をシビアに見るファンがいまだに少なくありません。それだけに、「完結編」という言葉の説明に追われる形となりました。
劇場作品は沖縄が舞台?
映画の情報公開と同時に、ティザービジュアルも発表されました。ティザービジュアルには南の島と思しき場所の砂浜に続く道が描かれており、この場所がいったいどこなのかも議論になりました。その最有力の場所として沖縄県本部町にある「備瀬のフクギ並木」が注目されています。
これまでの「ラブライブ!」シリーズでは、劇場作品で海外ロケをすることが慣例でした。15年の『ラブライブ!The School Idol Movie』では米国のニューヨークが、19年の『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow』では、イタリアのヴェネツィアやフィレンツェやローマが舞台になっています。
『完結編 第1章』では、製作期間がコロナ禍に被ったため、国内ロケに留まった可能性も考えられます。まだ場所が確定したわけではありませんが、「ラブライブ!」シリーズで沖縄が舞台になるのは初代『ラブライブ!』2期以来になります。
『虹ヶ咲』のファンには台湾や中国の人も多くおり、沖縄は東アジアからも「聖地巡礼」しやすい場所と言えます。今後、沖縄に「聖地巡礼」するファンが増えることは間違いなく、現地でのコラボ展開が今後どうなるのか注目していきたいと思います。
(クレジットのない写真・画像は全てバンダイナムコフィルムワークス提供)
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