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「マックで7000円」話題に デリバリーは高い?

山口健太ITジャーナリスト
「マックで7000円」話題に(筆者撮影)

週末、Twitterでは「マクドナルド4人分の注文で7000円」という投稿が大きく話題になっていました。その背景として「デリバリーの高さ」や「値上げ」に注目が集まっています。

「デリバリー価格」に値上げが拍車をかける

マクドナルドといえば、1人1000円以内に収まる感覚の人が多いように見受けられます。そのため、単に「4人で7000円」といわれると高すぎると感じることでしょう。

ここまで高くなった理由としては、注文した商品の数が多かったことに加え、「デリバリー」を利用したこと、また最近の「値上げ」も拍車をかけているといえそうです。

まず、マクドナルドのメニューには、店頭価格とは別に「デリバリー価格」が設定されています。Uber Eatsなど外部のサービスや、自社配送のマックデリバリーではこちらの価格になります。

デリバリーの場合、配達料金がかかるのは分かると思いますが、仕組み上、商品の価格自体が異なることにも注意が必要です。

ビッグマックの店頭価格(左)とデリバリー価格(右)の違い(マクドナルドのWebサイトより、筆者作成)
ビッグマックの店頭価格(左)とデリバリー価格(右)の違い(マクドナルドのWebサイトより、筆者作成)

というのも、Uber Eatsなどのサービスは注文者から手数料を取る以外に、お店からも手数料を取っており、配達料などを含む注文総額の35%が相場とされています。

そのため、マクドナルドのデリバリー価格は店頭価格よりも20〜30%程度高く設定されています。これは他の飲食店でも似たような傾向にあります。

今回話題になったデリバリーで「7000円」の注文を店頭価格で計算してみると、「5500円」程度となります。実質的にはデリバリーに約1500円かかっているわけです。

また、最近の「値上げ」も大きく影響しています。ビッグマックのデリバリー価格は2022年初めに420円でしたが、430円→480円→540円と3回値上げされ、1年で約30%高くなっています。

2022年3月14日の価格改定

2022年9月30日の価格改定

2023年1月16日の価格改定

1年前なら、同じ注文をしても店頭では「4000円台」、デリバリーでは「5000円台」に収まっていた可能性があります。4人でたくさんの注文をしてこの値段なら、妥当と感じる人が多いのではないでしょうか。

あらためて値上げの影響を実感するところではありますが、クーポンや支払い手段を工夫することで、ある程度は節約できそうです。

たとえば店頭ではマクドナルドのアプリなどで配られているクーポンを利用できます。筆者のスマホで確認したところ、680円のセットが630円になる50円引きのクーポンがありました。アプリを入れていない人はWebブラウザーからも利用できます

コード決済のキャンペーンでは、モバイルオーダーでau PAYを利用すると最大5%還元(3月14日まで)。三井住友の「Olive」ではタッチ決済で最大15%還元のプログラムが提供されています。

これに比べると、デリバリーでは割引手段が限られています。筆者のUber Eatsアプリには、2000円以上の注文で40%(最大1200円)引きになるクーポンが届いていましたが、いつも使えるわけではありません。

月に何度も注文するなら、月額498円の「Uber One」を契約すると配達手数料が0円になり、割安になります。ただ、サービス料などほかの手数料は変わらず、メニューの価格自体が高いという点も同じです。

デリバリーは高くても使うべき?

価格の上乗せや割引の手段が限られることを考えれば、デリバリーは割高という印象は拭えません。しかし、単に金額の多寡だけで評価するべきではないとも考えています。

デリバリーの良いところは、さまざまな理由で外出が難しい状況でも助けてもらえる点です。筆者は普段、自分で買い物に行くことが多いのですが、ときどき仕事に追われてわずかな時間も惜しくなることがあります。

その瞬間だけで言えば、デリバリーに1500円を払っても、それによって得られる時間のほうが価値が高いわけです。このような場合は、むしろ積極的にデリバリーを使ったほうがよいといえそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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