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ノート(237) 出所に向けた弁護士との面会と具体的な準備

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(30)

受刑364/384日目

民間委託の先駆け

 その後の3週間は、図書計算工場で差し入れ本の整理や官本の許可証を作成するなどしてすごした。暖かさも一段と増し、プレハブ2階の工場の窓から見える桜の木もすっかり葉桜となっていた。

 この間、雑居房の抜き打ち検査で、シッカロールの缶の中に石鹸を入れていた受刑者がいたということで、問題となったことがあった。本人としては単なる匂い付けのためだったが、検査では「隠し持っていたのではないか」と判断された。

 この「捜検」と呼ばれる保安検査を行ったのは、民間警備会社の職員だった。というのも、静岡刑務所は、官民協働による刑事施設の整備や運営の先駆けとして、2010年から総務や警備業務などの一部を民間業者に委託していたからだ。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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