真夜中の一方的なトランプ「勝利宣言」と「票の集計を止めろ」発言の真相
アメリカ大統領選の投開票日の真夜中、トランプ大統領は異例の記者発表を行った。
まず、開票結果が続々と発表され「勝利」を意識したのだろう。日付が変わった午前0時45分、トランプはこのようなツイートをしていた。
- 今晩私は発表を行います。大勝利!(について)
その後、何百万もの投票がまだ未開票であるにもかかわらず、なんと午前2時30分という信じられない時間帯にホワイトハウスにて、トランプ大統領はメラニア夫人とペンス副大統領夫妻を伴って支援者らの前に現れ、異例とも言える一方的な「勝利宣言」と「集計差し止め請求」をした。
演説の概要はこちら。(数字はすべて、トランプ氏の記者会見時のもの)
トランプ氏のこの勝利宣言は、アラスカ州で最後の投票所が締め切られてから1時間以上経った後だった。
また同じ時間帯には、民主党のバイデン氏が支持者に勝利への自信があると語っていた。この「勝利宣言」を受けてバイデン陣営は、「アメリカ市民の民主的な権利を奪おうとする、とんでもない露骨な行為」と非難した。
「偽り」と米メディアの反応
CNBCニュースは、「トランプは2016年の勝利後も、選挙の不正行為があったと主張し続け、今年も郵便投票による不正行為があると主張している。連邦最高裁が最初の裁判の場となることはほとんどなく、まずは下級裁判所での判決が通例のため『最高裁に持って行く』というのは何を意味しているのか不明」と報じた。
ビジネスインサイダーも、結果が出ていない段階での勝利宣言は「偽り」だとして非難した。また、最高裁の主張についてはCNBC同様に「どのような理由か、法的根拠が明確ではない」とした。
今回の選挙に注視している一般有権者にも話を聞いたところ、このような反応だった。
「選挙戦を闘っている候補者たちは、自分が勝つことを信じているので、このような勝利宣言を早々にするのは珍しいことではないし、マラソンランナーのように長い闘いの終盤戦でそのように言いたい気持ちもわかる。しかし勝利については各紙で『真実ではない』『偽り』と報道されていて、現段階では勝利を確定する『証拠』がまだない。これは明らかに“Premature”(時期尚早)だと思う」
仮にトランプの言う最高裁に持ち込まれた場合だが、これまで報道されてきた通り、リベラル派のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の死去後、後任として保守派のエイミー・バレット判事が指名され、10月27日に就任したばかり。これで9人の判事のうち過半数は保守派の6人、リベラル派は3人になったということも、ここで追記しておく。
今回の選挙は非常に荒れそうだ。
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(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止