梨泰院圧死事故 噂された芸能人は「否定」 現場での「声」も争点に 本格的な原因究明へ
29日夜に韓国・ソウルで起きた梨泰院圧死事故。
30日夜からは現場では遺体の身元確認、遺族への照会などが行われているいっぽうで、同日から警察当局による映像の収集などの本格的な原因究明が始まっている。
そこで争点の一つとなっているのが「噂話」の扱いだ。インターネット上で様々な情報が飛び交うなか、この真偽を見分ける作業にもなっていく。
まずは日本でも報じられた「有名人を見るために人波が押し寄せ、事故の原因になった」という話について。これは韓国ネットコミュニティ、いわゆる「掲示板」での話から来ている。
この点について本人が31日午前に「事実ではない」という文書を掲載した。
オリジナル映像を投稿する韓国発のアプリ「AfreecaTV」の有名なMC、ケイ(本名パク・ビョンギュ/32歳)。冒険探索もの、事件の解説、食レポなどが人気で、フォロワー数約48万を誇る。
事故以降、韓国のオンラインコミュニティ上では「原因となった有名人は誰だ?」という追求が相次いだ。そこで「ケイが現地の飲み屋にいた」という話が出て、「原因」とされたのだ。
確かに本人は当日、現地にいた。梨泰院でロケを行っていたのだ。しかし本人は当時の行動の導線を明らかにしつつ、自らの「AfreecaTV」アカウントページに否定する文章を掲載した。
「飲み屋を訪問したのではなく、人波に押されて飲み屋に入るかたちになった」
「そこで従業員に『今、外は危険だから出ない方がいい』と助言された」
「30分ほどいて警察のコントロールにより道路に空間が出来たので、事件現場とは逆の小道から梨泰院を脱出した」
(本稿末尾に全文掲載)
ではいったい、事故原因は何だったのか。
関連の噂が絶えないなか、31日に始まった韓国警察による本格的な事故原因究明にも「噂話」が絡んでくる。そこではその解明という作業も含まれているのも事実だ。
「いたずらっぽく『押せ』と叫ぶ声が聞こえた」
「韓国経済」は韓国警察側を丹念に取材し、現場近くでこの証言が出ている点を2度報じている。
これらについて、警察側はSNS上の動画や監視カメラの映像を収集。事故原因を特定するとともに、管轄行政機関の管理責任を調べるのだという。
事件後、韓国内ではオンライン上で一部「被害者・遺族への誹謗中傷」も見られるという。これに対して警察側は30日に「厳重な対策を取る」を発表。また大手ポータルサイト「NAVER」なども31日に「事件関連の嘘や誹謗抽象は行わないよう」呼びかけを行っている。
(了)
ケイ氏 声明文全文
まずは文を記す前に故人のご冥福をお祈りします。とても心が痛みます。
しかしこの悲しい状況にもかかわらず多くのネット上でのメッセージや、掲示物を通じて挙がってくる憶測にすぎない内容を目にしました。
私のせいで多くの人が集まってしまい、事故が起きたという憶測に過ぎないコメントを見たのですが、放送を見た人は分かると思うのですが、話にならないです。事実ではないことを分かっていただけると思います。
メディアでは「有名人が飲み屋を訪れたため人が集まった」という報道がなされ、その有名人を私だと定める人がいらっしゃるのですが、放送を見ていただくと分かると思います。
私は飲み屋を訪問したのではなく、人波により仕方がなく飲み屋に押されるかたちで入ったのです。
そこで従業員の方が「いま外は危険だから外に出ないほうがいい」と仰ってくださり、30分ほど中にいて、その後警察の方々のコントロールにより通りに少し空間ができたので事故現場と反対側の小道を通じて梨泰院を抜けました。
事実でない噂があまりにも深刻で、AfreecaTV側にも正確な事実関係把握を要請しました。私も昨日のわたしの動きをすべて時系列で報告しました。これを見て改めて事実を把握したいだけると思います。
重ねて梨泰院事故の被害者の方々と遺族の皆様に哀悼の意を表します。
【参考記事(筆者による)】
「圧迫により腹部膨張」韓国メディアが伝える梨泰院事故の凄惨さ 「下がれ」「人が抜けない」の怒号も
韓国・梨泰院の事故 現場は"大通りに抜ける細道" 現地留学生は「危険察知し1時間前に退避」=動画あり