台風24号による計画運休 なぜ必要なのか?
9月30日、鉄道各社は台風24号の本州接近が予想される中、計画的に鉄道を運休させていった。都市圏輸送・ローカル輸送は運行終了時刻を公表し、新幹線も運転を取りやめることを公表した。
鉄道は災害に強いわけでは決してない
7月の西日本豪雨でもわかるように、災害により橋りょうが流出したり、土砂が流れ込んだりということが鉄道では起こりうる。とくに、戦前、それも明治・大正期につくられた鉄道は、現在の新幹線のように頑丈なコンクリートで固められているわけではなく、何かあったときに被害を受けやすいような構造になっている。もちろん、鉄道会社では危険な箇所をチェックしふだんから確認はしているものの、それでも被害は起こりうるようになっている。
雨量の規制や、風速による規制などももちろん決まっており、それを超えたら運行できないようになっている。
台風の中で運行すれば、列車と乗客自体が被害を受けることもありうることであり、それを避けるため、計画的に運休することは必要なことである。
西日本から始まった計画運休
計画運休は、JR西日本が開始し、関西私鉄にも広まった。災害が予想される事態になると、天気のようすを見ながら運休の時刻をあらかじめ告知し、公式サイトや報道などを通じて多くの人に広める。
このことにより、店舗などの閉店を早めることや、コンサートなど公演の中止も早めに決定することができるようになり、多くの人の行動の目安が立てやすくなった。
今回の台風24号では、JR東日本を中心とした関東圏の鉄道会社でも計画的に運休を行うことができ、多くの人がそれに合わせて行動した。
筆者も体験した計画運休
筆者は9月28日から30日まで、愛知県に取材のため出張していた。30日にはある鉄道関連のイベントが行われる予定だったものの、台風の接近のため中止になった。
新幹線が計画的に運休することはイベント中止が伝わった直後にはわかっていたため、30日には早々にホテルをチェックアウトし、7時台の「のぞみ」に乗って帰宅した。
もし鉄道会社の判断が後手になり悪天候の中イベントが行われ、新幹線も遅れに遅れる中運行し、ということを想像すると、今回の計画運休の判断は正しかったことになる。
これまで鉄道会社だけではなく、日本の企業や個人は悪い事態を想定して計画を立てるということは少なかった。最近になってその流れが変わり、悪い事態を想定して予定を決めるということができるようになった。
その観点からすると、計画運休が普及することは望ましい。たとえ運休しても、安全を第一に考えるという点では、この流れは必要とされるものである。