鉄道機動ミサイル連隊の射撃訓練を行ったと北朝鮮が発表
1月15日、北朝鮮は前日の14日午後に発射した短距離弾道ミサイルについて平安北道の鉄道機動ミサイル連隊の検閲射撃訓練だったと発表しました。2発の「戦術誘導弾」を発射して日本海上の目標に命中したとしています。金正恩の視察は行われていませんでした。
なお「戦術誘導弾」は北朝鮮版イスカンデル短距離弾道ミサイル(KN-23)と形状が酷似しており、車載型と同型かあるいは派生型と見られます。
注目すべき点として14日の発射訓練は抜き打ちで行われています。午前中に命令を受けて午後に発射されています。鉄道発射システムは新しいものですがミサイル自体は既存の配備済みのものなので、長い準備時間を掛ける新型ミサイルの試験発射とは異なり実戦を模した即応発射訓練も可能です。特に今回は着弾地点が確認しやすい沿岸直ぐ沖合いの無人島なので、観測機材の配備も短時間のうちに行えたはずです。
つまりアメリカの制裁強化に対する反発の意志を示すべく急に思い立ってミサイルを発射することも可能でしょう。ただし発表文にはアメリカを非難するような文言は同時に掲載されてはいませんでした。
鉄道機動ミサイル連隊の発射訓練は昨年の9月15日以来、これで2回目となります。前回の初射撃は平安南道からの発射でした。
北朝鮮が鉄道発射式弾道ミサイルを試験(2021年9月16日)
今回のミサイル射撃は前日の予想通り、北朝鮮軍が何時も射撃訓練に使用している日本海沿岸の卵島(알섬)が使用されていました。着弾地点がこの島である以上、韓国軍が観測したとおりミサイルの飛翔距離は430kmだと確認できます。
北朝鮮がミサイル2発を発射、既存の滑空機動可能な短距離弾道ミサイルか(2022年1月14日) ※前日の着弾地点の予想
鉄道機動ミサイル連隊が今回使用したミサイルの「戦術誘導弾(전술유도탄)」はイスカンデル系の短距離弾道ミサイルで、2021年9月15日の発射時と同じミサイルを搭載しています。
なお朝鮮中央TVの公開映像から、発射地点は義州の南約20kmの地点が有力です。義州というよりは枇峴の辺りになります。
このミサイルは2021年9月15日の発射時は水平距離800kmを飛んでいるのですが、2022年1月14日の今回の発射では430kmと約半分に落ちています。目標の卵島に当てるために最大射程では撃たなかったと考えられます。