オートバイのあれこれ『あくまでも、公道メイン。周りに流されないカワサキのポリシー』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『あくまでも、公道メイン。周りに流されないカワサキのポリシー』をテーマにお話ししようと思います。
「ブームや流行に乗って面白いモノを作る」というより、「ブームを生み出す」もしくは「独自のモノを作る」ことで名を馳せてきたカワサキ。
そんな“カワサキらしさ”がビンビンほとばしる1台が、1985年(昭和60年)に出現しました。
『GPZ400R』。
85年といえば、スズキ『RG250ガンマ』に端を発するレーサーレプリカブームがみるみる過熱していた頃です。
「レプリカにあらずんばバイクにあらず」のような時代だったわけですが、なんとカワサキはGPZ400Rを“レプリカではない”方向性で作り発売します。
比較的大柄なボディ、窮屈さを抑えた乗車姿勢、そして、広めのシートや荷掛けフックなど、実用性を考慮した各部設計。
カワサキは、
「いくらレプリカブームとはいえ、世のライダーの大半は公道がメイン」
というブームに惑わされない冷静かつ現実的な判断を下し、GPZ400Rをストリートスポーツに仕立てたのです。
ただ、実用一辺倒ということではなく、ピークで59psを発揮する水冷DOHC4気筒エンジンを搭載しており、同じ400ccのスズキ『GSX-R』やヤマハ『FZ400R』にも見劣りしないスペックをきっちり兼ね備えていたところも見逃してはなりません。
安定志向の車体により、サーキットにおける“ピンポイントの速さ”はたしかにいまひとつだったものの、ツーリング時や普段使いにおける快適性・利便性で他社レプリカ勢を圧倒していたGPZ400Rは、そのオールラウンドなキャラクターがウケて、レプリカブームの最中でありながら大人気モデルとなりました。
その人気ぶりはすさまじく、デビューイヤーの85年、そして翌86年の2年連続で、400ccクラスにおける年間販売台数ランキング1位を獲得。
ブームに乗らず独自のやり方で成功を収めるという、まさしく“カワサキ流のサクセスストーリー”を辿ったオートバイだったといえるでしょう。