所得税減税、実現できたらいつから? 今からだと早ければ…ではなく、実は早くても…
10月20日に開会された臨時国会において、23日に岸田文雄首相は所信表明演説を行った。所信表明演説の中で、
と表明した。
ただ、ここには、「減税」の文字は見られない。この所信表明演説で減税と述べたのは3か所だけである。それは、
にある、法人税の減税だけだった。
とはいえ、所得税減税がにわかに注目を集めている。それは、所信表明演説に先立ち、10月20日に、岸田首相が与党幹部を首相官邸に呼んで、前掲の「還元」の具体策を与党の税制調査会で検討するよう指示した際、所得税減税に言及があったからである。
所得税減税には、定額減税と定率減税の2種類が候補となっているが、その両者の詳細は、拙稿「所得税に法人税、『減税ラッシュ』がやってくる 法人税減税は『賃上げと研究開発』が要件」に譲ろう。本稿では、その実施時期に焦点を当てる。
今から所得税減税を検討し始めて、早ければいつ実現できるのか。所得税減税を行うには、所得税法の改正が必須である。それは、租税法律主義に基づく。租税法律主義とは、事前に法令の根拠なしに、事前に法令の根拠なしに、 租税を賦課されることはないとする原則である(出典:土居丈朗『入門財政学(第2版)』日本評論社)。法律を改正するには、国会で改正法案が可決・成立しなければならない。
今の臨時国会は会期が12月13日までとなっている。この臨時国会に間に合うように、所得税減税を盛り込んだ所得税法改正を成立させれば、早ければ2024年1月1日から所得税減税が実現できる。
所得税は、わが国において、1月1日から12月31日までに生じた所得に対して課されることとなっている。
しかし、本稿執筆時点で、政府に、所得税減税を盛り込んだ所得税法改正案を今臨時国会に提出する動きはない。現に、前掲の岸田首相の指示も、年末の税制改正に向けての指示で、臨時国会に間に合わせるとは解されていない。
そうなると、次の機会は、例年通りなら2024年1月に開会される通常国会である。そこで所得税減税を盛り込んだ所得税法改正案が提出されれば、ようやく議論の俎上に載る。
だから、もうこの段階で、2024年1月1日からの所得税減税の実現はない。
では、早くともいつになったら所得税減税は実現できるのか。それは、
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