「学習の4段階」とは? 組織マネジャーが理解すべき用語解説
■どんなときに頑張らせて、どんなときに頑張らせないのか?
おそらく、部下を成長させるうえで最もマネジャーが気になるのは、どんなときに頑張らせて、どんなときに頑張らせない(力を抜かせる)か、ではないか。
肩に力が入っていると、自分のポテンシャルを活かせなくなる。緊張せず、リラックスすることで、本領発揮できるようになるものだ。
しかしその考えが通用するのは、相手がベテランのときだ。すでに実力がある人ならいいが、経験の浅い若者だったら
「頑張らなくていいから」
「自分のペースでやっていけばいいよ」
等と言っていたら、どうか。いつまで経っても成長しないだろう。成長の実感を覚えられなければ、仕事に対する熱意ややる気は削がれていく。
■「学習の4段階」とは何か? 用語解説
有名な「学習の4段階」に照らし合わせて考えてみよう。
【学習の4段階】
①無意識的無能(知らないからできない)
②意識的無能(わかっているけどできない)
③意識的有能(意識するときだけできる)
④無意識的有能(意識しなくてもできる)
一つ一つ解説していこう。
まず、「無意識的無能」とは「知らないからできない」という状態である。車の運転にたとえると、運転方法を知らないから運転できない、ということだ。
2番目の「意識的無能」は、「知っているのにできない」という状態である。車の運転にたとえると、運転方法は学んだけれども実際の運転はわからない状態のこと。
3番目の「意識的有能」とは、「意識しているときはできる」という状態を指す。トレーニングを繰り返し、身体に覚え込ませている最中のことである。教習所で何度も運転の練習をすると、意識すればなんとか運転できる状態になるだろう。
ただし「意識的有能」状態のときは肩に力が入り、常に緊張する。まだ慣れていないから、それなりのストレスがかかるものだ。この状態のときが一番大切で、しっかりと状態を見える化し、マネジメント対象とすることが大事だ。
最後に 4番目の「無意識的有能」だ。これは無意識でも、できてしまう状態のことだ。「できる」のではなく、「できてしまう」状態だ。
ストレスは一切なし。モチベーションなどまったく関係がなくできる。なぜなら、それをすることが「あたりまえ」になっているからだ。いわゆる「習慣化」した状態のことである。
この状態になれば、頑張らなくてもよくなる。なので、マネジメント対象から外す。無理をさせないようにする、ということだ。
車の運転で表現すればわかりやすいだろう。運転に慣れている人であれば、頑張らなくても運転できる。運転の細かい所作を意識しなくても、運転して目的地に到着することができる。
もう頑張る必要はない。力を抜いて運転すべきだ。
このように部下を成長させる際、真っ先にやらなければならないのが、どんな行動を「無意識的有能」の状態にするか、である。これさえハッキリさせれば、部下を成長させるマネジメントは、もう理解したようなものだ。
■頑張らせるポイントを「学習の4段階」で解説
学習の4段階で分解し、どこで頑張らせて、どこで頑張らせないか。それを観ていこう。
①無意識的無能(知らないからできない) → 頑張らせる
②意識的無能(わかっているけどできない) → 頑張らせる
③意識的有能(意識するときだけできる) → 頑張らせる
④無意識的有能(意識しなくてもできる) → 頑張らせない
「無意識的無能(知らないからできない)」のときは、しっかりと知識を習得するように「頑張らせる」べきである。
主体性に任せてはいけない。知らないことはやりようがないからだ。一度知ったとしても、忘れてしまっては意識しようがない。
覚えているかどうか。常に確認しよう。
次の意識的無能(わかっているけどできない)のときも、当然「頑張らせる」。
慣れないことをやるのはストレスがかかる。しかし、それ以上に大変なのは、その行動(トレーニング)をやり続けることだ。
意識的有能の状態になっても、まだまだ頑張らせよう。無意識的有能(習慣化)になるまでずっと「頑張る」が続くのはキツイかもしれない。しかし、この状態を抜けだせば、ストレスフリーで継続できるようになる。だからマネジャーは一緒に伴走するのだ。
もちろん、ただやり続けるだけで成長することはない。必ずそのプロセスにおいて創意工夫が必要だ。
しかしまだその行動に「慣れていない」「体が覚えていない」状態で頭を使おうとしても、うまくできないものだ。行動に意識が向いている以上、考えることに意識を向けられないからだ。
<参考記事>
■【スライド11枚】成果・成長・成功に導くマネジメントの「メリハリ」(前編)8500字
<参考図解>
<参考動画>
■「絶対達成マインドのつくり方」学習の4段階をご説明