『麺屋武蔵』が完成させた究極の「チョコレートラーメン」とは
11年目を迎える『麺屋武蔵』のチョコレートラーメン
人気ラーメン店『麺屋武蔵』と『株式会社ロッテ』がコラボレーションし、2月8日(金)から14日(木)まで、バレンタインデーに向けた創作つけ麺メニュー「亥ガーナ2019」(1,100円)を販売している。販売店舗は浜松町店(東京都港区浜松町1-29-6)で、一日20食限定メニューだ。
麺屋武蔵とロッテがコラボレーションするのは、2009年のバレンタインシーズンに発表した『味噌ガーナ』以来、今年で11年目。ロッテの人気商品『ガーナミルク』をラーメンに使うという斬新なアプローチはラーメン業界に強烈なインパクトを与えて、バレンタインシーズンにチョコレートを使ったラーメンを提供する店も相次いだ。2014年までは「味噌ラーメン」をベースにした商品だったが、2015年からは「つけ麺」スタイルの商品を提供している。
チョコレートの「甘味・コク・香り」は調味料として成立するのではないか、というアイディアから始まった麺屋武蔵の取り組み。今年は亥年にちなんで猪肉と長ネギを使った猪鍋をベースに、ロッテの主力商品である「ガーナミルク」を約1枚溶かし込むという意欲作。猪肉とニンニク、ショウガを合わせた醤油ベースのコクがあるスープに、ガーナミルクの甘味が融合した一杯になっている。
究極のチョコレートラーメンが完成
そして今年、麺屋武蔵は「亥ガーナ2019」の他にもう一品、新たなチョコレートラーメンを開発した。2月14日(木)から17日(日)まで、4日間限定で提供される究極のチョコレートラーメン「金乃ショコら〜麺」(2,160円)である。販売店舗は『麺屋武蔵 神山』(東京都千代田区内神田3-8-7)で、一日10食限定の提供となる。
チョコレートを使ったラーメンの開発も11年目を迎えて、チョコレートの原料「カカオ」に食材としての可能性を感じたことから生まれた一杯。チョコレートに使われる「カカオバター」はカカオ豆を発酵、乾燥、粉砕、焙煎したカカオニブを圧搾して採取するが、今回「ロッテ中央研究所」の協力のもと選定したカカオニブを使い、手作業によって圧搾抽出したカカオバターをラーメンの香味油として用いている。カカオニブ1kgから約200ccしか採取出来ない貴重なものだ。カカオバターを採取した後に残ったココアパウダーは、オリジナルの麺に練り込むことで麺にもカカオの風味をプラス。さらにココアパウダーを溶かした湯で麺を茹でることにより、麺そのものからもカカオの香りが感じられるような工夫がなされている。
スープは「蝦夷鹿」を贅沢に使用したコンソメスープ。北海道の食肉料理集団「エレゾ」から仕入れた極上の蝦夷鹿を使用。フレンチのコンソメスープの技法を用いて、蝦夷鹿の骨と肉を赤ワインをベースにじっくりと煮込み、さらに鹿挽肉を入れて奥深い味わいのスープを作りあげた。最初の仕込みから完成まで丸4日かけて作り上げるスープの上に浮かべるのは、手作業で抽出した香り豊かなカカオバター。純粋にスープとカカオバターの味わいを楽しめるよう、塩や醤油などの調味料は一切使用していない。具もシンプルに蝦夷鹿のロース肉のみで、カカオバターを使って真空でマリネし低温調理したもの。4枚のロース肉にはそれぞれ抹茶や陳皮、胡椒などの風味も付加している。
圧倒的な旨味と香りが広がる一杯
鹿のコンソメスープとカカオバターの香味油、そして麺と鹿肉。このラーメンを構成するものはそれだけである。しかしながら、たくさんの素材を使ったかのようにふくよかで複雑な一杯になっていることに誰もが驚くことだろう。まず丼から立ちこめるカカオの豊潤な香りが鼻腔を抜け、そこに圧倒的な力強い旨味をもったコンソメスープが流れ込んでくる。手間ひまと高度な技術が要求されるフレンチのコンソメスープを、ラーメン店がここまで見事に表現出来ていることに驚くとともに、その研究と努力のあとが伺えた。
そして何より、味の基軸になるものはあくまでも鹿コンソメであるにも関わらず、しっかりとチョコレートラーメンであることを感じさせるバランス感が素晴らしい。チョコレートの特徴である甘味は封印して、コンソメスープを邪魔しないようにカカオの香りを生かした絶妙なバランス。チョコレートそのものは使わずに、香味油のカカオバターと麺に練り込んだカカオパウダーだけで、チョコレートを見事に丼の中で表現してみせた。
「革新的で上質」麺屋武蔵が常に意識しているテーマに沿った究極のチョコレートラーメン。ぜひ自身の五感で感じ取って欲しいと思う。
『金乃武蔵 金乃ショコら〜麺』
販売期間 : 2019年2月14日(木)~17日(日)
販売店舗 : 麺屋武蔵 神山(東京都千代田区内神田3-8-7
販売数量 : 1日10食限定
価格 : 2,160円(税込)
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