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なぜシンガポール航空が? 中国料理とシンガポール料理を味わえるハイティーの全容

東龍グルメジャーナリスト
シンガポール ・ハイティー (C) 東龍

ハイティーも人気に

まん延防止等重点措置が全国的に適用され、飲食店の営業が再び厳しくなりました。そのような状況にあっても、アフタヌーンティーは非常に活気があり、最近では夕暮れ時から行われるハイティーも人気となっています。

グランドプリンスホテル新高輪「中国料理 古稀殿」 (C) 東龍
グランドプリンスホテル新高輪「中国料理 古稀殿」 (C) 東龍

どのホテルでもアフタヌーンティーやハイティーが行われていますが、特に魅力的なハイティーが登場しました。それは、グランドプリンスホテル新高輪「中国料理 古稀殿」(以下、「古稀殿」)の「シンガポール ・ハイティー グランドプリンスホテル新高輪×シンガポール航空」(1人 7,500円、税込・サ別)。

2022年1月10日から2月27日まで行われているハイティーで、面白いのはシンガポール航空とコラボレーションしていることです。

シンガポール航空とコラボレーションしたハイティー

シンガポール ・ハイティー グランドプリンスホテル新高輪×シンガポール航空 (C) 東龍
シンガポール ・ハイティー グランドプリンスホテル新高輪×シンガポール航空 (C) 東龍

シンガポール・ハイティーの内容は次の通り。

シンガポール・ハイティー グランドプリンスホテル新高輪×シンガポール航空

・大海老のシリアル炒め

・シンガポールラクサ風

・シンガポールチキンライス

・青パパイヤとクラゲ

・三種飲茶蒸篭

・各種デザート盛り合わせ

・シルバークリス・スリング または マイロダイナソー

・TWG

この新しいハイティーのメニューを考案したのが、2021年10月から料理長を務める稲川克洋氏。焼物やふかひれの姿煮などを得意としており、クラシックな中国料理からモダンチャイニーズキュイジーヌにまで精通しています。

稲川氏によって、中国料理とシンガポール料理が融合した特別のハイティーに仕上がりました。シンガポール航空のビジネスクラスで使用されていた日本の食器メーカーNARUMI(ナルミ)のテーブルウェアが使われているのも、興味が引かれるところです。

ウエルカムドリンク

左が「シルバークリス・スリング」、右が「マイロダイナソー」 (C) 東龍
左が「シルバークリス・スリング」、右が「マイロダイナソー」 (C) 東龍

シンガポール航空のビジネスクラス以上で提供されるオリジナルカクテル「シルバークリス・スリング」とシンガポールでポピュラーなノンアルコールドリンク「マイロダイナソー」のどちらかを選べます。

「シルバークリス・スリング」はシャンパーニュとジンがベースのカクテル。オレンジとパイナップルの味わいが南国を想起させます。「マイロダイナソー」は、日本でも知られている麦芽健康飲料「ミロ」を用いたドリンク。上にはたっぷりとミロの粉が振りかけられていて、見た目も映えます。

大海老のシリアル炒め

大海老のシリアル炒め (C) 東龍
大海老のシリアル炒め (C) 東龍

自家製の衣で大海老を揚げ、オリジナル配合したシリアルをまぶして炒めました。秘伝のスパイスと海老の甘味が印象的で、隠し味のカレーリーフが心地よいアクセント。

シンガポールラクサ風

シンガポールラクサ風 (C) 東龍
シンガポールラクサ風 (C) 東龍

ラクサ風のスープ。重たくならないようにと、あえてヌードルは入れず、スープにアレンジしました。辛味は抑えられており、海老油とココナッツミルクでマイルドに。チキンスープとココナッツミルクの割合に試行錯誤を重ねた一品です。

シンガポールチキンライス

シンガポールチキンライス (C) 東龍
シンガポールチキンライス (C) 東龍

シンガポール航空のレシピをベースにしてつくられました。ジャスミンライスは、すりおろしたショウガと「古稀殿」のチキンスープで炊かれているので、コクがあってさっぱりとした風味。主役のチキンはやわらかくてジューシーです。

稲川氏が特別に選りすぐったダークソース、シンガポール航空のレシピをもとにしたチリソースとジンジャーソース、さらには稲川氏が考案したネギ塩ダレが添えられます。稲川氏いわく「最初は独自のネギ塩ダレとダークソースで食べていただくといいです。最後は全てのソースを混ぜて食べると、味も変わって最後までおいしく召し上がれます」ということです。

三種飲茶蒸篭

三種飲茶蒸篭 (C) 東龍
三種飲茶蒸篭 (C) 東龍

「古稀殿」オリジナルの手作り点心です。プリっとした海老の蒸し餃子、旨味のある帆立の蒸し餃子、肉感溢れる古稀殿特製焼売と、王道のラインナップ。軽やかで味わい深い点心は、ハイティーのセイボリーにもぴったりです。

各種デザート盛り合わせ

マンゴータピオカ (C) 東龍
マンゴータピオカ (C) 東龍

各種デザート盛り合わせ (C) 東龍
各種デザート盛り合わせ (C) 東龍

デザートも充実しています。果肉感のあるマンゴータピオカ、バナナを揚げてカラメルで絡めた香蕉抜絲(シャンジャオバッスー)、パイナップル餡入りの胡麻団子と、食べ応え満点。胡麻団子にパイナップル餡を用いる新しいアイデアは、女性スタッフが考案しました。

TWG Tea

TWG Tea (C) 東龍
TWG Tea (C) 東龍

シンガポールの有名紅茶メーカー「TWG Tea」の代表的なお茶として知られる「1837 Black Tea」も味わえます。ブラックティーなので、紅茶の風味がストレートに堪能でき、口中をさっぱりさせてくれます。

予約特典のギフト

予約特典のギフト (C) 東龍
予約特典のギフト (C) 東龍

シンガポールの食を存分に体験できるハイティーである上に、公式サイトから予約すると次の特典があります。

シンガポール航空を象徴し、客室乗務員の制服にも使われているバティック柄のオリジナルエコバッグは先着300人に、グランドプリンスホテル新高輪「Chocolate Salon Takanawa」とシンガポール航空がコラボレーションしたチョコレートのアソートボックスは全ゲストに贈られるのです。

グランドプリンスホテル新高輪にとっても、シンガポール航空にとっても、このハイティーに力が入れられているという証左でしょう。

ハイティーが企画された背景

稲川氏が得意な「ふかひれの姿煮」。シンガポール・ハイティーとは別に注文するのもオススメ (C) 東龍
稲川氏が得意な「ふかひれの姿煮」。シンガポール・ハイティーとは別に注文するのもオススメ (C) 東龍

シンガポール料理と中国料理が融合したハイティーということで、非常に珍しいですが、どのような背景があったのでしょうか。

「古稀殿」でシンガポール航空とのハイティーのコラボレーションが行われたのが初めてだっただけではなく、ハイティー自体も初めてでした。

料理長の稲川氏はきっかけについて話します。

「コロナが長引いて海外旅行になかなか行けない状況が続きました。そこでシンガポール航空さんと一緒に何かできないかと考えて、今回のコラボレーションにつながりました」

企画が持ち上がってから開催されるまでには約1年を要しました。当初はオリンピック終了後を計画していましたが、緊急事態宣言中だったので、安全・安心に行える時期を考えて延期に。ゲストに2022年の年明けを新しい気持ちで迎えてもらえるようにと、1月からの開催に至ったのです。

稲川氏が特にこだわったのは「大海老のシリアル炒め」。

「シンガポールを代表する料理で、昔食べて忘れられない麦片蝦(バクペンハー)を思い出しながらつくりました。スパイシーですが、心地よい甘味も感じられます。調合バランスの妙味を体験していただきたいです」

シンガポールチキンライスもこだわりの一品。シンガポール航空のレシピを忠実に再現しています。

「ジャスミンライスは非常に食べやすいので、みなさまにおいしく召し上がっていただけると思います」

シンガポールの魅力を体験できるハイティー

2021年は日本・シンガポール外交関係樹立55周年記念。シンガポール政府観光局はSJ55と名付け、海外旅行に行けない今、日本にいながらシンガポールを体験できるようにと様々な事業を企画して実施しました。

ただ、昨年のほとんどは緊急事態宣言の期間だったので、残念ながら、シンガポールに関心のある日本人が、気軽に参加できたようには思えません。

イギリスが統治していた影響を受けて、シンガポールには紅茶文化があり、アフタヌーンティーとハイティーも盛況です。今回のシンガポール・ハイティーは、シンガポールを体験できる素晴らしい企画なので、是非とも訪れてみてください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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