“厨房のピカソ”が来日して腕をふるった! 今だけ食べられる「ある特別メニュー」とは?
ピエール・ガニェール氏が来日
ANAインターコンチネンタルホテル東京「ピエール・ガニェール」は、“厨房のピカソ”と称されるミシュランスターシェフのピエール・ガニェール氏がプロデュースするレストランです。同店が2010年に開業後、ガニェール氏は日本に度々訪れていましたが、コロナ禍では訪日が叶いませんでした。
2023年になってようやく、日本へ訪れることができるようになります。そして、食材が豊かになるこの秋に、ガニェール氏が今年3回目の来日を果たしました。
2023年9月21日から12月23日まで、秋の味覚を堪能できる7品のスペシャルディナーコース「PIERRE GAGNAIRE TOKYO」(37,290円、税・サ込)が提供されています。その中で10月18日、19日、21日にはガニェール氏も自ら厨房に立ち、「ピエール・ガニェール」エグゼクティブシェフである赤坂洋介氏と共に腕をふるいました。
コース内容
「PIERRE GAGNAIRE TOKYO」のメニューは次の通りです。
PIERRE GAGNAIRE TOKYO
・ライムの香る岩手産泳ぐホタテ貝 アボカドとマスカルポーネ オシェトラ・キャビア
・ラングスティーヌ
赤ビーツを効かせたラングスティーヌのグリエ ブロッコリーとマイクロサラダ
プランクトンの香るラングスティーヌのベニエ
ラングスティーヌのタルタル 紅芯大根と水菜
・キノコのフリカッセとアオリイカ 烏骨鶏卵のポーチドエッグ 群馬産生ハム
・リ・ド・ヴォーのポワレ フルム・ダンベールを効かせたムール貝のクリーム
ジャガイモのグラチネと香草パン粉
・赤甘鯛 レモングラスの香る貝のブイヨン 赤茄子 シブレットオイルの香るセロリ
・京鴨のロースト カボチャのピューレと芽キャベツ チョコレートの香るビガラードソース
・ピエール・ガニェール ひらめきのデザート(3皿)
チョコレートの香るバターナッツカボチャクリーム、カカオのソルベ/コーヒー風味のマデラソース、イチジクのロッティ/リンゴとアプリコットシードのクリーム ソーテルヌワインのジュレ添え
・小菓子/コーヒーまたは紅茶
山海の旬の素材を自由な発想で組み合わせた、創造性あふれる魅惑の料理ばかり。デザートが非常に充実しているのも特徴です。
今回は、パリ本店と同じメニューが楽しめる特別企画として、2023年10月18日から、約10種類のチーズをプレートに並べてサービスする「プラトー・ド・フロマージュ」(4,351円、税・サ込)がオプションメニューとして選べるようになっています。
では、コースを詳しく紹介していきましょう。
ウエルカムフード
木製プレートで提供される最初のアミューズは6品。麦の穂をあしらった秋らしいプレゼンテーションです。
最初に食べた方がよいのは、串に刺さった温かいクロケットです。中にはブランダードが包まれており、カラッと揚げられた衣とよいコントラスト。冷める前に食べましょう。タルト風のグジェールは、可愛らしい一口サイズに。豚のテリーヌの上には、グリビッシュソースとタスマニアマスタードのアクセント。カマンベールチーズのボールにはカシューナッツが加えられ、ネパールの胡椒が香ばしいです。麦の穂に忍ばせているのが、クリスピーなマロンのチュイール。グラスに入れられた一品は、ヴァンショー=温かい赤ワインのジュレとクリームにパン・ド・エピスのパウダーが添えてあります。
ライムの香る岩手産泳ぐホタテ貝 アボカドとマスカルポーネ オシェトラ・キャビア
岩手県のブランド帆立貝「泳ぐホタテ」は、オリーブオイルと塩でマリネして薄くスライス。塩味のあるキャビア、苦味のあるアンディーブ、クリーミーなアボカド、まろやかなマスカルポーネのクリーム、シャープな酸味のライムのゼストが合わせられ、帆立貝の食味を際立たせています。
ラングスティーヌ
赤ビーツを効かせたラングスティーヌのグリエ ブロッコリーとマイクロサラダ
プランクトンの香るラングスティーヌのベニエ
ラングスティーヌのタルタル 紅芯大根と水菜
ラングスティーヌ=アカザエビを3種類の調理法で仕上げました。主役はグリエで、優しくて完璧な火入れ。マイクロハーブ、バター、エシャロット、ビーツが合わせられ、見た目も艶やかです。プランクトンパウダーをまぶしたベニエは、衣がふんわりとして、ラングスティーヌの滋味が閉じ込められています。グリーンオリーブのペーストにつけてもおいしいです。タルタルはレモンジュレでさっぱりとした後口に。
キノコのフリカッセとアオリイカ 烏骨鶏卵のポーチドエッグ 群馬産生ハム
アオリイカのポワレとキノコのソテーの面白い組み合わせ、凝縮したジュ・ド・ヴォライユ=鶏の出汁、濃厚な烏骨鶏のポーチドエッグ、塩味のある生ハムによって、旨味が増しています。フランスと日本のキノコが豊富で、ジロール茸、ピエドブルー、香茸、天然舞茸と、実に素晴らしい香気。プチオゼイユをあしらって、緑の彩りも。
リ・ド・ヴォーのポワレ フルム・ダンベールを効かせたムール貝のクリーム ジャガイモのグラチネと香草パン粉
ブルターニュ地方のリードヴォーを、絶妙なテクスチャにポワレしました。ブルーチーズのフルムダンベールとムール貝の出汁のソースが力強いです。上に重ねられた香草とベーコンのポテトグラタンは、ホっとする味わい。
赤甘鯛 レモングラスの香る貝のブイヨン 赤茄子 シブレットオイルの香るセロリ
赤甘鯛を蛤など様々な貝のブイヨンでポッシェしました。セロリやシブレット、レモングラスやゼストで爽やかなアロマ。下には香ばしく、とろっと焼いた赤茄子が忍ばされています。
京鴨のロースト カボチャのピューレと芽キャベツ チョコレートの香るビガラードソース
京鴨はストレスを与えないように、ロゼ色にローストしました。オレンジの甘味とチョコレートの苦味を加えたビガラードソースが、京鴨の優れた食味を引き出しています。ちりばめられたカカオパウダーも軽やかなアクセントです。カボチャのピューレとニョッキはよい箸休め。
プラトー・ド・フロマージュ
オプションで提供されるフランス本店と同じメニュー。今だけしか体験できないので、是非ともチョイスするとよいでしょう。
チーズ熟成士のベルナール・アントニー氏が厳選した約10種類のチーズから好きなものを選べます。当日のラインナップはこちら。ブルーチーズはフルムダンベール、白カビタイプはブリドモー、 ハードタイプは36か月熟成コンテ、ウォッシュタイプはモンドールとシャンパーニュ地方のラングル。山羊のチーズは3種類もあり、フランス産、広島産と東京あきる野市産を食べ比べできました。
付け合わせも充実しています。蜂蜜バター、ソーテルヌのジュレとマンゴーチャツネ、フロマージュブランのソルベ、ヘーゼルナッツのサラダ、薄くスライスしたドライフルーツとナッツのパンのトーストと、他のファインダイニングでもこんなに出されることはありません。チーズの風味が変わるので色々と試してみてください。
ピエール・ガニェール ひらめきのデザート
デザートは、2023年10月にシェフパティシエに就任した巽健一郎氏が紡ぎます。3種類が同時に提供され、見た目も圧巻で美しいです。
「チョコレートの香るバターナッツカボチャクリーム、カカオのソルベ」は、バターナッツカボチャのクリームとチョコレートの風味が思った以上の相性。「コーヒー風味のマデラソース、イチジクのロッティ」は、ローストして香り高いイチジクをマデラソースに合わせて大人の味わいに。「リンゴとアプリコットシードのクリーム ソーテルヌワインのジュレ添え」は凛としたグラスデザートに仕上げられ、ソーテルヌのジュレが上品です。
ワインペアリング
これだけの珠玉のメニューには、是非ともワインペアリング(18,645 円~、税・サ込)もオーダーしたいところ。フランスワインが非常に充実しているので、ソムリエの杉本康隆氏の説明を聞いてマリアージュを楽しむとよいでしょう。
最初のシャンパーニュは「ルイナール ブラン・ド・ブラン」。口当たりはやさしく、味わいもしなやかで、香りには気品があります。バラエティ溢れる「ウエルカムフード」のどれにも合うでしょう。
「ドメーヌ ファビアン・コシュ ムルソー・レ・シュヴァリエール」はバランスがよく、ほろ苦い柑橘の感じもあります。滋味がたっぷりと詰まったラングスティーヌの一皿に合わせられました。
メインディッシュの京鴨にマリアージュされたのが「M.シャプティエ エルミタージュ ルージュ モニエ・ド・ラ・シズランヌ」。タンニンは凝縮感があって優しいです。ペッパーの香りもあるので、京鴨のソースに寄り添います。
食後酒は「ドメーヌ・ド・ラ・ボングラン マコン・クレッセ キュヴェ・ボトリティス 1994」。フランス・ブルゴーニュ地方・マコネ地区の甘口ワインで、複雑味があって余韻も長いです。デザートに合わせられ、非常に甘美。
映画の料理監修や出演も
ガニェール氏は、1月、4月に続いて今年3度目の来日となりました。予定が詰まっており、その中で3日間も自ら厨房に立つ時間を確保したのは、さすが職人気質のガニェール氏ならではです。
赤坂氏もチームも、ガニェール氏がいるとよい緊張感に包まれるといいます。反対にガニェール氏も、日本のチームからよい刺激をもらっているといい、良好な関係性が築かれています。
実はガニェール氏は、今年末に“ある厨房”に立ちます。2023年12月15日から公開されるフランス映画「ポトフ 美食家と料理人」で、料理監修を務めたことに加えて、自身も料理人の役柄で登場しているのです。
題名を見てもわかるように、料理が大きな役割を果たす物語なので、ガニェール氏はキーパーソンといえます。“厨房のピカソ”と称され、常に新しいことにチャレンジし続けるガニェール氏の新たな才能にも注目です。