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屋久島沖オスプレイ墜落事故、米空軍は根本原因特定できず #専門家のまとめ

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
米空軍CV22オスプレイ(写真:米空軍)

米空軍は1日、昨年11月に鹿児島県屋久島沖で起きたオスプレイ墜落事故は、機体左側にある変速装置内でのギア破断と、度重なる警告に従わずにパイロットが飛行継続を決断したことが原因であるとする調査結果を発表した。しかし、その破断の根本的な原因を特定することはできなかった。日本国内では現在、日米合わせて計46機のオスプレイが配備されている。日米両政府は、安全対策を講じてオスプレイの運用を続ける構えだが、地方自治体は納得するだろうか。

ココがポイント

▼ギアボックス内で歯車が破断し、プロペラに動力を送ることができず。不具合を示す警報も何度も出ていたが、操縦士は飛行を続けた

・変速機破損、動力伝わらず 米空軍オスプレイ、屋久島沖墜落(共同通信)

▼不具合が生じたのはプロップローター・ギアボックス。ギアの破片が他のギアの間に挟まり、エンジンの動力が伝えられなくなった

・不具合発生後も飛行継続 昨年11月のオスプレイ墜落 米軍が調査報告書公表(時事通信)

▼日米両政府は破断の原因を特定できていないものの、対策を取ることで安全に飛行できるとしてオスプレイの運用を続ける構えだ

【速報】オスプレイ墜落の根本原因「特定できず」 米軍が調査報告書を公表 23年11月の屋久島沖事故(琉球新報)

▼防衛省は、金属片探知機による予防的点検と維持整備の頻度の増加といった新しい予防措置で安全対策を十分に講じていると説明した

・屋久島沖米軍オスプレイ墜落、ギア亀裂とパイロットの飛行継続の判断が原因と発表 故障の原因は特定できず(Yahoo!ニュース エキスパート 高橋浩祐)

エキスパートの補足・見解

米軍が運用するオスプレイは空軍が51機、海兵隊が約400機、海軍が27機に上り、米軍全体の任務に必要不可欠な軍用機となっている。米軍以外でオスプレイを導入した国は世界では日本だけだ。防衛省によると、日本では現在、米空軍が横田基地に5機、米海兵隊が普天間飛行場に24機、陸上自衛隊が木更津駐屯地に17機をそれぞれ配備している。米軍はオスプレイの低空飛行訓練を日本の全国各地で実施している。木原稔防衛相は、事故原因などの米軍の情報提供について「前例にないレベルでの提供に感謝した」と述べ、防衛省も説明を尽くしてきているとは思うが、今回の事故報告書で地方自治体の間でオスプレイの安全性に対する懸念が払拭されるかどうか。

米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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