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探査機カッシーニが撮影!土星の美しすぎる超高画質映像集

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「カッシーニが撮影した土星映像集」というテーマで動画をお送りしていきます。

●土星探査機カッシーニ

Credit:NASA/Jet Propulsion Laboratory-Caltech
Credit:NASA/Jet Propulsion Laboratory-Caltech

カッシーニは、NASAとESA(欧州宇宙機関)によって開発され、1997年に打上げられた土星探査機です。

カッシーニ以前に打ち上げられた探査機、ボイジャー1,2号は、1980年、81年にそれぞれ土星を通過し数々の発見をしましたが、多くの謎を残したまま、太陽系外へ向かっていきました。

その残された謎を解明するのが、カッシーニに課せられたミッションでした。

●カッシーニが残した映像集

打ち上げから7年の旅を経て、カッシーニは2004年に土星の軌道に投入され、史上初の土星の人工衛星となりました。

その後カッシーニは、最期の瞬間まで様々な映像を私たちに届けてくれました。

それらを早速紹介していきます。

リングにまつわる画像

Credit:NASA/JPL/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

こちらは土星のリングを鮮明に写した画像です。

マイクロメートル(1mmの1000分の1)単位からメートル単位の無数の小さな粒子が集団になり土星の周りを回っています。

粒子のほとんどは氷の粒です。

土星のリングはいくつかの構造に分かれていて、内側からD,C,B,A,Fという風に名前が付けられています。

また、B環とA環の間にあるのは「カッシーニの間隙」と呼ばれる領域です。

Credit:NASA/天文学辞典
Credit:NASA/天文学辞典

カッシーニの間隙は1675年に、探査機の名前の由来ともなったフランスの天文学者カッシーニが発見しました。

地球から見ると暗いことで間隙と命名されていますが、実際にはしっかりとリング構造が存在しています。

Credit:NASA/JPL/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

さらにこれらのリング構造よりも外側に、より希薄なリング構造が存在しています。

最も外側にあるE環は、土星の衛星エンケラドスから宇宙空間へ放出された氷の粒子が、主な構成物質であると知られています。

Credit:NASA/JPL/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

こちらのリングと一緒に回転している黒い影は、「スポーク」と呼ばれる構造です。

スポークは、土星の真冬や真夏には消え、夏と冬が入れ替わる分点に近づくと再び現れる、季節的な現象だと考えられています。

Credit:NASA/JPL/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

また、リングの中を拡大していくと、プロペラのような構造が見られます。

これは土星のリング中に埋もれた小さな衛星が、周りの氷粒子を引き寄せて形成されていると考えられています。

○大気構造の画像

Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/Hampton University
Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/Hampton University

こちらは土星の北極に存在する六角形の嵐です。

六角形の1辺の長さは約14500kmなのに対し、地球の直径は約12700kmなので、この中にすっぽりと地球が入ってしまうほどの巨大な構造です。

左が2013年6月、右が2017年4月に撮影されたものでたった4年弱で色が全体的に黄色く変化していることがわかります。

これは土星の北半球の夏至(2017年5月)に近付くにつれ、太陽からの放射が強くなることで光化学スモッグが発生しているためであると考えられています。

Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute
Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

こちらは2011年に撮影された、土星の巨大な嵐です。

木星の大赤斑になぞらえて「大白斑」とも呼ばれます。

過去の発生時期から、約30年に1度に発生する、周期的な現象であると考えられています。

○土星から見た地球

Credit:NASA's Goddard Space Flight Center
Credit:NASA's Goddard Space Flight Center

最後に紹介するのはこちらです。

土星が太陽の光を背負った様子を撮影したものです。

先ほど紹介した、複数のリングの存在がはっきりと映し出されています。

そしてそのリングの右下部分を拡大していくと、小さく光る星が見えます。

これはなんと地球です。

私たちが知る生命、そしてその歴史は全て、この小さな青い点の表面に詰まっています。

宇宙がいかに人類と関係なく壮大な存在なのかを教えてくれる、本当に奇跡的な写真です。

●グランドフィナーレ

Credit:NASA/Jet Propulsion Laboratory-Caltech
Credit:NASA/Jet Propulsion Laboratory-Caltech

2004年に土星の軌道に投入されてからおよそ13年に渡って土星を観測し続けてきたカッシーニですが、いよいよ最期の時を迎えます。

NASAはカッシーニに、土星本体とリングの間を通過させ、土星大気に突入させるという最期のミッションを課し、これを「グランドフィナーレ」と名付けました。

カッシーニは、燃料が切れて制御不能になった場合、土星の衛星に衝突してしまう可能性がありました。

中でも、地表を覆う厚い氷の下に海があるのではといわれているエンケラドスや、メタンの海が存在するタイタンは生命が存在する可能性がある衛星です。

カッシーニがそれらの衛星に衝突すると、付着した地球の微生物によって生命が存在できる可能性のある環境が汚染される恐れがありました。

それを避けるために、カッシーニは自己消滅する必要がありました。

そして2017年9月15日、カッシーニは土星の大気圏に突入し、流れ星となって土星の空に消えていきました。

ミッションをやり遂げるために自ら土星の大気圏に突入したカッシーニの功績を無駄にしないためにも、今後の土星研究に期待がかかります!

また、カッシーニが撮影した3万枚の実写画像を組み合わせ、CG等を使わずに作成された、土星系の「実写動画」が公開されています。

以下の動画で解説しているので、併せてご覧下さい。

https://www.jpl.nasa.gov/images/pia17172-the-day-the-earth-smiled
https://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA21611
https://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA12735
https://astro-dic.jp/cassini-division/
https://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA11144
https://www.cfca.nao.ac.jp/pr/20110428
https://www.esa.int/Highlights/Week_In_Images_02_06_September_2013
https://www.jpl.nasa.gov/videos/cassinis-grand-finale

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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