深夜に思わず食べたくなる 東京の締めラーメン「基本」3軒
どうしても深夜にラーメンを食べたくなってしまう
人は深夜にラーメンを食べたくなってしまう生き物だ。基本的にラーメンとは空腹を満たすために食べるものだが、深夜のラーメンは性質が異なる。お腹が空いているわけではないのに食べたくなる。いや、食べたいというよりも食べなければならないという、言わば使命感のようなものに突き動かされて食べるものだ。
深夜にラーメンを食べることは、人として生きている以上避けることが出来ない宿命だ。どうせ食べるのであれば、美味しいラーメンを食べたい。どうせ太るのであれば、美味しいラーメンで太りたい。今回は深夜に東京で食べるべきラーメン店の基本中の基本をご紹介しよう。
背脂チャッチャ系の嚆矢『ホープ軒』(1960年創業)
千駄ヶ谷、国立競技場の目の前で朝から深夜まで24時間、一年中休むことなく賑わいをみせる店。それが『ホープ軒』(東京都渋谷区千駄ケ谷2-33-9/24時間営業/無休)だ。屋台での創業は1960(昭和35)年のこと。その後、1975(昭和50)年に現在の場所に店舗を構えた。タクシーのドライバーがサッと食べられるようにと、開業当初はカウンター立ち食い席の1階のみだったが、今は1階は昔ながらの立ち食い、2階と3階はテーブル席になっている。
深みのある豚骨醤油スープの表面に、大粒の背脂がビッシリと浮く圧倒的なビジュアル。見た目よりも口当たりはあっさりとして食べやすいのが特徴だ。自家製の太麺は4階の製麺室で作られる自家製麺。液体ではなく固形の背脂を浮かべたのは東京でこの店が最初と言われている。そしてこの店から巣立った背脂ラーメンの名店も数多い。まさに東京背脂チャッチャ系ラーメンの原点のような店なのだ。
臭みのない釜炊き豚骨スープ『博多麺房 赤のれん』(1978年創業)
西麻布交差点、六本木通り沿いで長年愛されている店が『博多麺房 赤のれん』(西麻布本店:東京都港区西麻布3-21-24/11:00~翌5:00/日曜定休)。博多豚骨ラーメンの元祖と呼ばれる福岡の老舗ラーメン店『赤のれん』(1946年創業)の味に惚れ込み、暖簾分けという形で西麻布に1978年に創業。都内に進出した博多ラーメンとしては草分け的な存在で、現在は丸の内にも支店を構えている。
博多ラーメンが浸透していなかった東京で、アレンジすることなく博多そのままの味をしっかりと出すことに尽力。五右衛門釜を使って大量の豚骨のみを炊き出し、毎日継ぎ足して作る豚骨スープは、臭みはまったくなくしっかりと乳化して味わいに深みがある。福岡『赤のれん』の麺を忠実に再現したという平打ち麺も歯切れの良い食感がクセになる。
香ばしい揚げネギラーメン『かおたんラーメン エントツ屋』(1983年創業)
西麻布の交差点から程近い場所に突如として現れるたくさんの「煙突」。今や西麻布のランドマークとも呼べる存在なのが、1983(昭和58)年創業の『かおたんラーメン エントツ屋』(東京都港区南青山2-34-30/11:30~翌5:00・金土〜翌6:00/日曜定休)だ。看板には「かおたん=高湯」の文字と共に「中国福建省の高級スープ」の文言が誇らしげに躍っている。赤坂でも中国料理店を経営している人気店だ。
豚のゲンコツ、背ガラ、鶏ガラをじっくり丁寧に炊いたスープは、中国のスープをベースにしつつも中国人シェフやマレーシア人シェフなどの協力も得て、店主が創業時より試行錯誤を続けてきたオリジナル。台湾産赤ネギを使った揚げネギとネギ油が浮かぶことで、スッキリとした中に深みを感じる味わいに。さらに香ばしい揚げネギの香りと口で弾ける食感が、深夜の食欲をさらにかきたてる。
今回ご紹介した3軒は、いずれも東京の醤油ラーメンを語る上で欠かせない名店ばかり。深夜にガッツリラーメンで締めたい時はもちろん、ランチタイムでも晩ご飯でも足を運んで頂きたい。
※文中の営業時間は2023年4月時点によるものです。
※写真は筆者によるものです。
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