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結局のところ、お皿に残ったソースはパンでぬぐってもいいのか、いけないのか

畠山仁美所作講師

美味しい料理を食べた後、お皿にソースがまだ少し残っているとします。「このソースが美味しいのになぁ…」と思ったとき、あなたはどうしますか?

「ソースってパンでぬぐって食べてもいいですか?」というのは、よくされる質問です。

したいけど、しちゃいけないのかな…と、何となくモヤモヤすることの一つですが、実際のところどうなのでしょうか。

スカルペッタをする?

イタリアでは、パスタを食べた後にお皿に残ったソースをパンでぬぐって食べることを「fare la scarpetta(ファーレ・ラ・スカルペッタ)」と言います。

あまり行儀の良いものではないので、家ではするけどレストランなどではしないほうが無難、とされている行為です。

ただ、料理人としては、ソースをパンでぬぐって食べる行為を嬉しく思う人も多いです。

とくにフランス料理はソースが命。美味しいソースを最後まで堪能したくなるのは当然ですし、ソースまできれいに食べることをシェフに対するリスペクトであると感じている人もいます。

また、日本には、「お皿をぬぐうほど美味しい。最後の一口まで味わってほしい。」という意味を込めて、店名に「スカルペッタ」をつけるイタリアンレストランも多くあります。

私が夫とレストランを営んでいたときも、パスタのソースをパンでぬぐって最後まできれいに食べてくださる方が多くいらっしゃいましたが、それだけ美味しいと思ってくれたんだと嬉しいと思うことはあっても、マナー違反だと感じることはありませんでした。

ソースに限らず、家庭料理であっても、最後のひと口まで、お米一粒のこさず食べてもらえるというのは、作り手冥利に尽きるというものです。

まとめ

◆残ったソースをパンでぬぐって食べる行為は、基本的には行儀の良いものではない。ゆえに高級レストランやフォーマルな場面などでは避けた方が無難。

◆とはいえ普段の食事(家やカジュアルなお店など)では、イタリアでもフランスでも普通に行われている。作り手にとっても最後まできれいに食べてもらえるのは嬉しい。

料理そのものを楽しむこと、作ってくれた人への感謝を表すこと、その上で場の雰囲気に配慮すること。

この3点を意識することで、心地良い食事の時間を過ごせるはずです。

所作講師

日常の振る舞いを見直すことで、心・体・生活を整えるお手伝いをする所作講師。立つ・座る・歩く・物を扱う・挨拶する、といった日常あたりまえに行っている所作を通して、振る舞いだけでなく自分の内面も見つめ直すレッスンが好評。2011年の開講以来マンツーマンレッスンにこだわり、一人一人と向き合ってきた。ブログ【所作美人のヒント】では、バタバタと忙しい日々の中で、所作を通して自分を磨く考え方を発信。著書「一日一分からはじめる『おだやかな人になる所作の習慣』」

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