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米黒人暴行死「元警官とフロイドさんは知り合いで、衝突していた」発言の元同僚、発言を撤回

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
米下院司法委員会の公聴会で証言した、フロイドさんの弟のフィロニスさん。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 昨日した投稿「米黒人暴行死「白人の元警官はフロイドさんをとてもよく知っていた。彼らは対立していた」2人の元同僚」について、投稿中に出てくるフロイドさんの元同僚のデビッド・ピニー氏が発言を撤回したことが、米国時間6月11日、CBSニュースで報じられた。

 ピニー氏はCBSニュースに対し、当初、

「ショービン容疑者はフロイドさんをとてもよく知っており、2人は衝突していた」

と話していたのだが、フロイドさんを別の黒人の元同僚と混同してしまった結果だったとして、当初の発言を撤回した。

 それでも、ピニー氏は、ショービン容疑者が、ナイトクラブで攻撃的な性格を見せていたという点は認めている。

 結局、これまでのところ、ショービン容疑者とフロイドさんが知り合いだったかは不明だ。しかし、フロイドさんの家族は、2人は知り合いだったのではないかと考えている。

 米国時間6月10日、米下院司法委員会の公聴会で証言した、フロイドさんの弟のフィロニス・フロイドさんは、ショービン容疑者の行為は、個人的理由から行なった計画的な犯行であるという自身の考えを述べた。

「なぜ、ショービン容疑者は8分間、お兄さんの首を膝で押さえたのだと思うか?」という公聴会での質問に対し、こう答えたのだ。

「個人的な理由があったんだと思う。兄とショービン容疑者は同じところで働いていたからだ。ショービン容疑者の行為は、計画的だったに違いない。彼はそうしたかったんだ」

 フィロニスさんは、2人の間にあった緊張関係が殺人に繋がったのではないかと見ているようだ。

 フィロニスさんはまた、人種差別主義も兄の死の背景にはあると発言し、2人は事件が起きた5月25日以前から知り合いだったに違いないとの考えも述べた。

「兄はどこに行っても、その場所にインパクトを与えるんだ。たくさんの人たちと話すからね。彼はまさに優しい巨人なんだ。ショービン容疑者はナイトクラブで働いていた。兄がショービン容疑者を知っていたことはわかっている。みなショービン容疑者のことを知っていた。市長も彼を知っていた。ショービン容疑者は兄がただ嫌いだから、殺したんだ。人種差別に違いないんだ」

 フィロニスさんには大きな疑問がある。

 現場にいた別の警官が「フロイドさんに息をさせるために、身体を転がした方がいいのではないか」ときいたにもかかわらず、ショービン容疑者はなぜ、そうすることを否定し、フロイドさんの首を押さえ続けたのか?という疑問だ。

 そのあたりも今後、裁判で明らかにされるかもしれない。

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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