ワイモバイル「値上げ」 経済圏の使いこなしは必須か
10月以降に始まるワイモバイルの新料金プランにおける「値上げ」が注目を集めています。
一方、固定回線やクレジットカードなどの割引は増えていることから、ソフトバンク・PayPayの経済圏を使いこなすことは必須といえそうです。
シンプルな3段階のプランを維持
新料金プランの名前は「シンプル2」、基本料金はS/M/Lの3段階となっており、ファストフードのような分かりやすさを維持している印象です。
ただ、気になるのは「値上げ」でしょう。主力のMプランは、割引前の基本料金が20GBで4015円(税込、以下同じ)となり、現行の15GBで3278円から容量は増えたとはいえ、高くなった感は否めません。
音声定額のオプションも新しくなり、「留守番電話プラス」などの有料オプションが含まれるものの、10分定額が880円、完全かけ放題が1980円と110円ずつ値上げされ、メインブランドのソフトバンクと同額になります。
これまで無料だった基本的な留守番電話サービスは、シンプル2では利用できないと説明されています。音声定額を契約せずに使いたい人は、注意が必要です。
また、直接的な値上げではないものの、速度制限が2段階になり、契約容量を大きく超過する場合には速度が厳しく制限されるようになります。
一方で、単純に値上げされた部分ばかりではなく、ソフトバンクやPayPayの経済圏と連携した割引が増えている点にも注目です。
最大の特徴は、固定通信(SoftBank 光またはSoftBank Air)とセットで加入した場合の割引が、MプランとLプランでは「1650円」に増えている点です。
ドコモやau、ソフトバンクのセット割が「1100円」であることと比べても、割引額の大きさが目を引きます。シンプル2を検討する上で、このセット割は無視できない要素になりそうです。
ライバルのUQ mobileと判断が分かれたのは20GBプランです。UQには、セット割や家族割がない代わりに1人でも安く使える「コミコミプラン」(10分かけ放題を含む20GBで3278円)があります。
ほぼ同じ条件でワイモバイルを使おうとすると20GBで4895円になり、高く感じますが、LINEMOの20GBプランと5分かけ放題の組み合わせで3278円になることから、棲み分けを図っている印象です。
このように、ワイモバイルをおトクに使うにはセット割または家族割の活用が基本になっており、この考え方は新料金プランでも変わっていないといえそうです。
PayPay経済圏との連携も進む
国内では物価上昇が続く中、携帯キャリアが料金を値上げしてもそれほど驚きはない状況になりつつあります。
とはいえ、現在の料金プランが一連の「携帯値下げ」政策によって生まれた経緯を踏まえると、大々的な値上げは難しいという空気も感じるところです。
そのため、auが提唱した「マネ活」のように、「経済圏の活用次第ではポイント還元などでおトクになる」という施策の導入がさらに進んでいくと筆者は考えています。
ワイモバイルの料金プランには月額508円の有料サービス「Yahoo!プレミアム」が含まれており、Yahoo!ショッピングでの買い物でポイント還元を得られるなどの特典があります。
さらに新料金プランでは、PayPayカードで料金を支払うと月額187円の割引になる「PayPayカード割」も始まります。他キャリアではdカードやau PAY カードで同様の仕組みがあります。
PayPayといえばコード払いで知られていますが、最近はクレカに注力しており、ワイモバイルの利用者もしっかり経済圏に取り込んでいく狙いが感じられます。
すでにPayPayカードにはワイモバイルの料金支払いでポイントがたまる特典がありますが、「PayPayカード割とは別の特典として、引き続き提供する予定」(PayPay広報)とのことです。
利用者目線では「シンプル」とは言い難い方向に進んでいる感はあるものの、経済圏を広げたいという事業者の思惑をうまく活用することで、毎月の負担を減らしていきたいところです。