北海道新幹線並行在来線問題「まさかのデマンド交通転換議論」!? 3連休は道路も鉄道も大混雑の現状
夏休みシーズンが目前に迫り、沿線に多くの観光地が点在する函館本線山線区間の沿線は道路も鉄道も大混雑で大きなにぎわいを見せた。この函館本線の山線と呼ばれる長万部ー小樽間については、北海道新幹線の札幌延伸時にJR北海道から経営分離されることが確定しており、北海道庁が主導する並行在来線対策協議会では2022年3月に第三セクター鉄道への転換ではなく、鉄道を廃止しバスに転換することを「強引に」決定した。
しかも、北海道庁が主導する並行在来線対策協議会では、協議の場にバス会社を呼んでおらず、2023年5月になってからバス会社に鉄道代替バスの引き受けを相談しようとしたところ、昨今深刻化しているドライバー不足の問題から沿線にバス路線網を展開する北海道中央バス、ニセコバス、道南バス3社から鉄道代替バスの引き受けを断られ1年以上に渡って、協議が中断するといった異常事態が続いている。
そんな中、小樽市長から「予約制乗り合いのデマンド交通などほかの交通手段で補えるか議論することになる」という驚きの発言が飛び出した。一部では「北海道庁の考えを代弁しているのではないか」という見方もされているようであるが、特に輸送密度が2000人を超えている余市ー小樽間をデマンド交通に転換するなどという発想は正気の沙汰ではない。予約制のデマンド交通はトヨタハイエースなどが使用されるケースが多いが、このハイエースで鉄道と同程度の輸送量を確保できると本気で考えているのであろうか。2024年6月24日に開かれた余市町の定例町議会一般質問では、斉藤啓輔町長は並行在来線のJR函館本線余市―小樽間について「バス転換合意は迅速かつ大量輸送の確保が前提。それが崩れる場合は合意を撤回する」と答弁するに至っている。
この3連休、特に余市町では町内の国道5号線や後志自動車道余市料金所が慢性的に渋滞していたほか、函館本線も長万部ー倶知安ー余市ー小樽間で終日混雑をみせていた。このような道路も鉄道も混雑している中で、鉄道を廃止しその分の利用者を本気でハイエースで運ぶということを考えているのであろうか。北海道の行政は、合理的な議論を行う能力すら持ちあわせていないのだろうか。
先日、X(旧ツイッター)上で、京都のバス渋滞の様子がバズっていたが、特に余市ー小樽間の鉄道を廃止してデマンド交通に転換するということは、この区間の国道5号線をトヨタハイエースで埋め尽くして身動きを取れなくすることと同義である。一方で、「国道5号線のハイエースで埋め尽くすだけのドライバーを確保することは物理的に不可能なのでそんな心配はない」という声もあった。
この問題は【北海道】乗り物大好きチャンネルさんでも触れています。
(了)