【Yahoo!ニュース 個人】12月の月間MVAとMVCが決定
■Yahoo!ニュース 個人、12月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました
社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選6本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。
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12月のMVA
■防衛省が韓国駆逐艦レーダー照射事件の動画を公開(JSF)
筆者による受賞コメント:受賞を大変嬉しく思います。ただ後日、気象庁の公開データで事件当日の日本海の波浪状況を後から確認することが出来たと気付きました。これにもっと早く気付いていれば、受賞記事と同じ内容の解説記事を事件発覚直後に書けていたかもしれません。自分の感度の鈍さに恥じ入るばかりです。
(JSF)
選出理由:日本海で発生した火器管制レーダー照射事件における日韓の主張を分析した記事です。海上自衛隊により公開された動画を元に、レーダーの特徴、無線の周波数などについて解説を加えています。筆者の軍事装備に対する高い知見とタイムリーさが際立ちます。
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■貨物船衝突から2ヶ月 周防大島の宿泊クーポン7分で完売 一方、骨折者続出の実態も(堀潤)
筆者による受賞コメント:この度は賞に選んでいただき本当にありがとうございます。災害などが発生すると常時、当事者の皆さんからの取材依頼をSNSを通じて受けています。今回も周防大島、地元の方々からのSOSを受けての発信でした。既に道路も水道も復旧した後で、私自身、取材の目が他の地域に向いていました。反省点です。しかし、地域の方々の生活を現場で感じ、知る機会を頂けたことで当時まだ報道されていなかった骨折の多発を知ることができました。「今回の事故や対応の課題を教訓として今後にいかしていかなくてはいけない。当事者の責任でもあると思います。そのために伝えてください」私に連絡を下さった方の言葉です。これからもメディアと市民が連携してきめ細やかな情報発信に努めてまいります。
今回、周防大島を初めて訪ねました。地域の方々が自然を生かし知恵と情熱を傾け観光産業を楽しみながら盛り上げている様子にも触れることができました。災害が発生するとどうしても、悲しみ、苦しみ、痛みなどが焦点になりがちですが、現場はそれだけではありません。まだ試行錯誤の最中ですが、ありのままの現場の空気を一つの記事や動画の中で伝える試みはこれからも続けてまいります。皆さん、周防大島を機会があれば訪れてみてください。瀬戸内海の穏やかな豊かさに触れられます。西日本豪雨からの復興を目指す観光地と合わせてぜひ!
(堀潤)
選出理由:貨物船の衝突から2カ月、断水などの被害を受けた周防大島をくまなく取材し、住民の知られざる二次被害について報道しました。その一方で、風光明媚な観光地でもある一面も取材。島の様々な「素顔」を、記事と動画で伝えました。
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■追悼、ホセ・カスティーヨ。母国ベネズエラで交通事故死。野球を愛した愛すべきナイスガイ(阿佐智)
筆者による受賞コメント:月間MVAに選んでいただいたと聞き、正直驚いております。ウェブ全盛の中、足で稼ぐ記事が少なくなってきていることにジャーナリズムの危機を感じている小生ですが、野球のグローバル化というマイナーでニッチな分野で地道に取材活動してきたことが評価されたと自分では解釈しております。これも、世界の様々なところで取材にご協力いたただいた方々のおかげであると感謝しております。唯一、記事内容が偉大な野球選手の訃報ということに複雑な気持ちを抱いておりますが、日本の野球ファンの方々にホセ・カスティーヨという野球人の存在を刻みこむことができたならば、この記事を書いた甲斐があったと思えます。なによりもこの賞をホセに捧げたいと思います。
(阿佐智)
選出理由:日本でも活躍した元大リーガーのホセ・カスティーヨ選手。筆者は2年前にイタリアでプレーする同選手を取材し、過酷な環境下でも心から野球を楽しんでいる様子を写真とともに伝えました。ヨーロッパや中南米の野球に精通する筆者ならではの記事で、同選手の魅力が詰まっています。
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■〈東名高速あおり運転死傷事件〉法律問題を改めて考えてみる(園田寿)
筆者による受賞コメント:MVAに選出していただきありがとうございました。この事件では、当罰性についてはだれもが認める悪質な違法行為でありながら、いったいそれが何罪に問えるのだろうかという、ギリギリの法解釈が問題になりました。いわば法の隙間で生じた行為ですが、日本の裁判所はこのような場合、ともすればかなり踏み込んで法を広げて解釈する傾向があります。第一審では危険運転致死罪の成立が肯定されましたが、この有罪の論理は、多くの法律家の間では批判的に受け止められたようです。本件が法の想定外の行為だったならば、裁判所はその限界を示して、法の改正を立法府に促すことも重大な任務の一つです。本件は控訴審で審理中ですが、第二審でどのような判断が下されるのかに注目したいと思います。
(園田寿)
選出理由:2018年のニュースの中でも関心の高かったあおり運転死傷事件。複雑な要素が絡みあって進んだ裁判員裁判について、「危険運転致死傷罪に問えるのか」「そもそも監禁とは」などの視点からわかりやすく解説した記事です。記事を読むことで、その後の判決内容をスムーズに理解した読者も大勢いました。
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■【Jリーグ】J1残留争いの最中、V・ファーレン長崎の高田明社長が小さな島で語っていたこと。(吉崎エイジーニョ)
筆者による受賞コメント:「V・ファーレン長崎は強い」。クラブのJ2降格決定後、ホーム最終節の昨年12月1日にこの点を言い切ることができました。満載のエピソードを削るのにかなり苦労した結果、導き出した結論です。泣く泣く削った場面を二つだけ。昼食時に島のお母さんたちが本当においしい手作り料理を振る舞ってくださいました。また、村井満Jリーグチェアマンはかなり子どもたちとのサッカーを頑張っており。「思ったより出来なくて、悔しいからまた練習しようと思った」と。取材に応じてくださったV・ファーレン長崎、Jリーグ、小値賀島の皆様に感謝致します。
(吉崎エイジーニョ)
選出理由:V・ファーレン長崎の高田明社長に密着、クラブへの思い、経営哲学などを取材。クラブがJ1残留争いの最中、離島で開催されるサッカー教室に向かう高田社長がふとこぼした言葉や、子供たちとの会話も丁寧に拾い上げてまとめた記事です。
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■友近、多才な芸の原点を語る!気になる結婚は?(駒井千佳子)
筆者による受賞コメント:仕事へのこだわりが強い友近さんは、インタビューに応えることをほとんどしません。今回、依頼した際に二つ返事で受けてくれたのは、15年という長い付き合いがあったからなのだと思います。芸能界を取材することは、一朝一夕にはできません。そのことを改めて感じることができたインタビューでした。そして今回、MVAに選出していただいたことで、地道に取材していくことの大切さに気付かされました。本当にありがとうございました。
(駒井千佳子)
選出理由:ほとんどインタビュー取材を受けない友近さんにアプローチし、仕事の原点やこだわり、結婚についてなど深く聞き魅力を引き出した貴重な1本。普段から地道な取材で信頼を得ているからこそ実現できた記事です。
12月のMVC
■『「憩いの場」が消える… 無料入浴施設の廃止決定で高齢者反発』の記事へのオーサーコメント(伊藤伸)
筆者による受賞コメント:受賞は大変うれしいです。これまで、国や自治体の延べ数千事業について、議論したり資料を見たりしてきました。たぶん日本でトップクラスだと思います。老朽化した施設の見直しは、青梅市に限らずすべての自治体で抱える課題です。見直しを考える際には、単に建物をどうするかだけではなく、その建物で行っていることの目的や手段を客観的に評価することが大切だと常々感じています。選んでいただきありがとうございました。
(伊藤伸)
選出理由:青梅市にある無料入浴施設の廃止が決定したニュースに関連し、自治体施設の存続是非について財政や利用者層など幅広い観点で解説。行政の事業評価をしてきた知見にもとづいてニュースに冷静な視点を加え、高齢者の交流をどう実現していくかというそもそもの目的を読み手に認識させてくれました。