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ジャリエル・ロドリゲスはブルージェイズで先発投手として投げるのか。中日では先発→リリーフ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャリエル・ロドリゲス MAR 15, 2023(写真:CTK Photo/アフロ)

 ジャリエル・ロドリゲスは、トロント・ブルージェイズに入団するようだ。MLB.comのフランシス・ロメロとジ・アスレティックのケン・ローゼンタールが、契約の合意を報じている。ロメロによると、契約は4年3200万ドルだという。

 ロドリゲスは、2020~22年に中日ドラゴンズで投げた。最初の2シーズンは、主に先発投手として投げ、防御率は4.12と3.65。続く3シーズン目は、ブルペンから56試合に登板し、防御率1.15と39ホールドを記録した。昨春のWBCは、先発マウンドに2度上がった。

 昨年、ブルージェイズでは、ケビン・ゴーズマンクリス・バシットホゼ・ベリオス菊池雄星が、いずれも、先発30登板以上と防御率3.90未満を記録した。4人とも、退団はしていない。また、アレック・マノーアは、先発19登板で防御率5.87ながら、その前の2シーズン、メジャーリーグ1年目と2年目は素晴らしかった。先発20登板で防御率3.22と、先発31登板で防御率2.24だ。

 ただ、マノーアが復調できるかどうかには、疑問が残る。昨年は、6月と8月にマイナーリーグへ送られた。13登板で与四球率6.52と防御率6.36→降格(ルーキーリーグとAAで各1登板)→6登板で与四球率5.22と防御率4.91→降格(登板なし)だ。最初の降格を経た後も、制球難は解消されなかった。2021年と2022年の与四球率は、3.22と2.33だった。

 ローテーションの最後の1枠に入るのは、マノーアではなく、ロドリゲスでもおかしくない。

 ロドリゲスの契約も、ロメロが報じているとおりだとすると、先発登板を示唆しているように見える。

 ブルージェイズがリリーバーとしての起用だけを考えているなら、メジャーリーグで投げたことのないロドリゲスに対し、4年3200万ドルは高すぎる気がする。例えば、サンディエゴ・パドレスが松井裕樹と交わした契約は、5年2800万ドルだ。

 ブルージェイズのプランは、こちらに近いのではないだろうか。

 今オフ、アトランタ・ブレーブスは、3年3000万ドルの契約でレイナルド・ロペスを迎え入れた。サンフランシスコ・ジャイアンツは、4年4400万ドルの契約でジョーダン・ヒックスを手に入れた。ロペスとヒックスは、どちらもリリーバーだ。だが、今年は、ローテーションに並ぶ可能性もある。2人のうち、ヒックスのローテーション入りは、まず確定だろう。

 先発投手として成功すれば、球団にとっては安い買い物になる。うまくいかなかったとしても――あるいはローテーションに入れなくても――これまでに経験のあるリリーバーとして起用できるので、損失は少なくて済む。これは、ロドリゲスにも当てはまる。

 ちなみに、ロペスとヒックスの昨年のスタッツは、よく似ている。それぞれ、68登板と65登板で66.0イニングと65.2イニングを投げ、奪三振率が11.32と11.10、与四球率が4.64と4.39、防御率は3.27と3.29だ。セーブとホールドの合計も近く、ロペスは6セーブ+22ホールド=28、ヒックスは12セーブ+13ホールド=25だった。

 ロペスとヒックスについては、それぞれ、こちらで書いた。

「エンジェルスなど3チームで68登板のリリーバーは、3年3000万ドルの契約を得て先発再転向も」

「山本由伸を逃したジャイアンツは、平均球速100マイルのリリーフ投手を手に入れ、先発投手として起用」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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