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エンジェルスなど3チームで68登板のリリーバーは、3年3000万ドルの契約を得て先発再転向も

宇根夏樹ベースボール・ライター
レイナルド・ロペス Aug 19, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月20日、アトランタ・ブレーブスは、レイナルド・ロペスと3年契約を交わしたことを発表した。契約の内訳も、ブレーブスは明らかにしている。2024年が年俸400万ドル、2025年と2016年の年俸は1100万ドルずつ。そこに、2027年の球団オプションがついている。ブレーブスが行使すれば年俸800万ドル、破棄する際の解約金は400万ドルだ。

 ロペスが確実にもらえるのは、400万ドル+1100万ドル+1100万ドル+400万ドル=3000万ドルなので、この場合は、一般的に3年3000万ドルと表記する。

 来年早々、ロペスは30歳となる。今シーズンは、シカゴ・ホワイトソックス、ロサンゼルス・エンジェルス、クリーブランド・ガーディアンズで計68試合に登板し、66.0イニングを投げて防御率3.27を記録した。昨シーズンは、ホワイトソックスで61登板、65.1イニング、防御率2.76だ。

 ここ2シーズンのどちらも、60登板以上、60イニング以上、防御率3.30未満は、ロペスを含め、8人しかいない。また、スタットキャストによると、今シーズン、ロペスが投げた775球の4シームは、平均98.2マイルを記録した。これは、4シーム、シンカー(2シーム)、カッターの速球系が計750球以上の173人――先発投手も含む――のなかで、5番目に速い平均球速だ。

 ただ、来シーズンの登板は、ブルペンからではないかもしれない。アトランタ・ジャーナル-コンスティチューションのジャスティン・トスカノは、この冬、ロペスは先発投手として準備を整え、来春のスプリング・トレーニングに臨む、と報じている。

 もともと、ロペスは先発投手だった。シーズンを通し、ローテーションの一角を占めたこともある。2018~19年は、ホワイトソックスで先発32登板と33登板。両シーズンとも180イニング以上を超え、防御率3.91と5.38を記録した。4シームの他に、スライダー、チェンジアップ、カーブを投げる。

 数日前に「5人の選手を放出し、防御率6点台のリリーフ投手1人を獲得する。このトレードの損得勘定は!?」で書いたとおり、ブレーブスのブルペンは、ロペスが加わらなくても、機能しそうだ。

 ローテーションも、人数が足りないわけではない。スペンサー・ストライダーマックス・フリードチャーリー・モートンブライス・エルダーを擁する。今オフは、そこに、FAの先発投手を1人加えるだろう。そうならなくても、ロペス以外の候補も何人かいる。

 ブレーブスとしては、ローテーションとブルペン、どちらにロペスが加わってもプラスになり、加わらなかったほうも問題は起きない、という寸法だろう。先発投手としてロペスが好投すれば、安い買い物になる。

 ここ6シーズンとも、ブレーブスは、ナ・リーグ東地区を制している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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