綱渡りの政権とバラバラになる日本
フーテン老人世直し録(125)
睦月某日
新年の安倍総理は連日ゴルフに興ずるなど余裕のあるところを見せた。昨年末の総選挙で「圧勝」したと報じられたのだから余裕を見せるのは当然だが、しかし今年の安倍政権は大変である。綱渡りの政権運営が待っている。
そもそも安倍総理は今年が大変だと分かっているから、昨年末に先手を打って解散・総選挙に踏み切った。勝てる時に選挙をしておかないとじり貧になり、選挙のタイミングを見失うと考えたからである。
しかしそのことを国民に見透かされては元も子もない。国民が政権運営の先行きを不安視すれば、「期待感」で持ちこたえているアベノミクスは続かなくなる。一部の大企業を儲けさせれば底辺の人間も豊かになるというアベノミクスは、「期待感」で格差拡大の痛みを忘れさせる経済政策である。「期待感」が消えれば底辺から怨嗟の声が上がり、そこでアベノミクスは終わるのである。
従って安倍総理は余裕を見せて先行きを楽観視させるパフォーマンスをやらざるを得ない。そのためには昨年末の選挙結果を「圧勝」と報道させる必要があった。しかし「圧勝」の現実は、有権者の半数が棄権をするというおよそアメリカ以外の先進国では考えられない異常な選挙の結果である。
つまり国民の半数が背を向けた選挙結果で安倍総理は余裕のポーズを見せ、アベノミクスで潤う一部大企業や投資家、エコノミストたちが楽観的な見通しを世間に振り撒いているのである。その明るくふるまう日本人と現実に生きる日本人とを複眼で見ると、フーテンにはこの国が分断されバラバラになっているように見える。
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