甘酸っぱい杏子の魅力満開!阿佐ヶ谷の商店街で出会った「あんず餅」桜の葉と杏子って意外と合うんです
桜の季節が終わったかと思ったら、都内ではツツジも藤も最盛期の終盤にさしかかり、これからは菖蒲やバラが見頃を迎える季節へと日々移ろう四季を彩る草花たち。連休中に桜ではないお花見を満喫した方も多いのではないでしょうか。
そして和菓子の世界では、鶯餅から桜餅、そして柏餅へとバトンが受け渡されたたかと思ったら、あんみつや水羊羹がちらほらと目につくようになりましたね。
こっくりとした甘味よりも、なんとなくさっぱりとした余韻の和菓子に手が伸びがちになってくる今日この頃。そう思っていた矢先、ふととある商店街を散策していたらユニークな和菓子と出会ったのです。今回は阿佐ヶ谷駅のすぐそばに本店を構える創業1952年の和菓子屋「釜人 鉢の木」さんの「あんず餅」をご紹介。
薄紅色に染められた道明寺にくるりとまとわりつく桜の葉の塩漬け…二か月ほど前によく見かけた、早くも懐かしさを覚える佇まい。けれどもついつい目が釘付けになってしまうのは、大きくて立派な橙色の杏子。道明寺の上に鎮座した杏子は寒天液を纏いきらきらと輝き、存在感に磨きがかかっております。どんな香りの変化になるのだろうと思い鼻を近づけると、爽やかな杏子と優雅な桜の香りは意外にも好相性。
道明寺はほんのりと甘く、もっちりというよりは粘り気のような滑らかさと湛えて。ぱくり、と全て一緒に口の中へ導けば、弾けるような杏子の愛らしい甘酸っぱさとねっとりとした柔らかさが満開になり、じゅわりと溢れてくるこれまた瑞々しい白餡が噛みしめるごとに全てを包み込んでくれる口福感に、思わず目を閉じてしまいました。
勢いが良いといえばそうなのですが、あんずも白餡も柔らかさの程度が揃っているので、甘味と酸味のバランスだけではなく食感や口当たりも揃っているのです。果実としての杏子、花としての桜の葉それぞれは喧嘩することなく調和することができるという新しい発見との出会いでした。
ちょっと珍しいような組み合わせ、見た目ではありますが、こんなにも柔らかくさらりとした白餡を包む職人さんの包餡技術にも驚き。こういうことがあるからこそ、和菓子屋さん巡りはやめられないんですよねぇ。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<釜人鉢の木・阿佐ヶ谷本店>
公式サイト(外部リンク)
東京都杉並区阿佐ヶ谷南2-15-4
03-3311-6917
9時~19時
年中無休