手が止まらない柔らかさ!上品でスパイシーな「肉桂餅」こし餡もたっぷり、江戸創業の老舗が紡ぐ大阪銘菓
うだるような暑さに体力も気力も奪われがち…夏だからこそスタミナを!と、巷ではスパイスが効いたグルメが登場しはじめていますが、食欲が減退しがちな時には重いかなと。しかし、個人的に今だからこそ皆さんに知っていただきたいスパイシーで歴史ある銘菓があるのです。
大阪は堺の港町。全国のみならず世界中から貿易船が集う街で生まれた「八百源來弘堂」さ(やおげんらいこうどう)んの「肉桂餅」をご紹介。
かつて堺にて貿易商を営んでいた八百屋宗源は、当時珍重された香辛料なども取り扱っておりました。肉桂の香りの良さは評判だったもののピリッとする刺激から嫌煙なさる方も多かったため、試行錯誤の結果お餅に肉桂をあわせたところそれが大成功。
しかし無常にも戦が勃発。辛く険しい戦を経て、江戸は元禄期に「八百源」と改め、初代が肉桂を混ぜた求肥でこし餡を包み、その甘露は今では都内にまで届くように。
個包装されていてもふわりと漂う方向に期待は高まり、そっと包を開いて焦がし麦色のお餅とご対面。繊細な求肥は、持ち上げるというよりもそっと支えるといったほうが正しい持ち方かもしれません。滑らかな求肥からは、薫り高い肉桂の仄かな辛みまでもが一直線に飛び込んできます。しかし、それだけではなくたっぷりの自家製のこし餡と混ざり合うことにより、双方の香りと甘さが幾重にも口の中で交差して上質な甘味に。
すぅっと鼻から抜けていく心地よい爽快感は、太陽が照り付ける夏でも体を冷ましてくれるよう。満たされます…。
豊臣家を滅亡へと導いた大阪冬の陣・夏の陣をはじめ大戦など、幾多の戦火に遭いながらも令和の現代まで受け継がれてきた味と、絶やすことなく紡いでくださる職人技。決して華美ではありませんが、たっぷりの甘いこし餡とちょっぴり刺激的な肉桂はお取り寄せしてでもまた食べたくなる逸品です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<八百源來弘堂>
公式サイト(外部リンク)
大阪府堺市堺区車之町東2-1-11
072-232-3835
9時~17時
定休日 日曜