フランス女子W杯メンバーが発表!23名メンバー紹介(2)
6月7日から7月7日かけて、フランスで開催される女子W杯に臨むなでしこジャパンのメンバー23名が5月10日(金)に発表された。
選ばれた23選手のうち、ここではDF登録の選手を紹介する。
(写真はすべて筆者撮影)
【DF(8名)】
3 鮫島 彩 サメシマ アヤ(INAC神戸レオネッサ/31歳/SB, CB)
日本の最終ラインを支えるキーマン。スピードを生かしたカバーリングに加え、攻守において駆け引きの引き出しが多く、1対1の強さも魅力だ。11年のドイツW杯(優勝)と12年のロンドン五輪(銀メダル)、15年のW杯(準優勝)の3大会でレギュラーとして活躍したが、高倉ジャパンでそのプレーはさらに進化を遂げた。以前の代表では左サイドバックのスペシャリストだったが、このチームでは最終ラインの全ポジションを経験し、熊谷が不在だった昨年8月のアジア競技大会(優勝)ではセンターバックで堅守を支えた。INACでも最終ラインの要だが、唯一、リーグタイトルだけは獲っていない。国際経験豊かな百戦錬磨のサイドバックが、上位進出のカギを握っている。
2 宇津木 瑠美 ウツギ ルミ(レインFC(アメリカ)/30歳/SB,CB,ボランチ)
球際のデュエルや空中戦のバトルに長けたチーム屈指のファイター。危機察知能力が高く、カウンターに対するリスク管理も心得ている。高倉ジャパンをチーム発足時から支えてきた主要メンバーの一人で、代表のキャリアは今年で14年目。今大会は、自身4度目のW杯となる。サイドバック、センターバック、ボランチを高いレベルでこなす上、先発や途中出場など、様々な役回りを演じてきた。日本、フランス、アメリカと、言語も文化もサッカースタイルも異なる3カ国でプレーしてきた経験から培われた柔軟な対応力は唯一無二。高倉ジャパンでは、代表で戦うことの責任と誇りを身をもって伝えてきた。様々な修羅場をくぐり抜けてきたその英知が、若い選手も多い代表チームで生きるだろう。
4 熊谷 紗希 クマガイ サキ(オリンピック・リヨン(フランス)/28歳/CB)
ヨーロッパ屈指の強豪リヨンで6シーズン目を迎えた日本のディフェンスリーダー。リーグ13連覇中のリヨンで先月、6度目のリーグ優勝を味わった。一方、チャンピオンズリーグでは5月19日の決勝戦に勝てば前人未踏の4連覇を達成する。各国の代表クラスのアタッカーと日々しのぎを削り、体の寄せ方や必要なコンタクトの強度を熟知している。高倉ジャパンでは張りのある声でチームを鼓舞。若く経験の浅い選手たちに積極的なプレーを促し、ミーティングでも率先してチームをまとめてきた。澤穂希、宮間あやと受け継がれてきたキャプテンマークは、今やその腕にしっくりと馴染んでいる。今大会の準決勝以降は、熊谷にとって第2のホームともいえるリヨンが舞台。対戦相手にはチームメートも多く、気合は十分だ。
23 三宅 史織 ミヤケ シオリ(INAC神戸レオネッサ/23歳/CB)
スピードを生かしたインターセプトや対人の強さが魅力のセンターバック。INACでは11年からリーグ3連覇を支えたDF甲斐潤子とDF田中明日菜からバトンを引き継ぎ、ディフェンスリーダーとして最終ラインを支えている。23歳と若いがリーグは6シーズン目で、昨年は初のベストイレブンも受賞。高校生だった13年にフル代表デビューを飾った早熟のDFだが、その時は定着には至らず、高倉ジャパンでは17年末のスイス戦でチャンスをつかんだ。それ以降はコンスタントにメンバー入りし、昨年のアジア2冠にも貢献している。レギュラー奪取には至っていないが、「23名全員が即戦力」を目指す高倉ジャパンで、選手層の厚みを体現する存在だ。
22 清水 梨紗 シミズ リサ(日テレ・ベレーザ/22歳/SB)
豊富なスタミナとスピードで攻撃を活性化し、守備では粘り強い対応が光るサイドバック。ベレーザで16歳からコンスタントにリーグ戦に出ており、4連覇を支える新黄金世代の一人でもある。ケガの影響もあり、フル代表デビューは同年代のMF長谷川唯やMF籾木結花に約1年遅れをとった。だが、昨年2月のアルガルベ杯でピッチに立つと、安定したパフォーマンスで瞬く間にレギュラーに定着。W杯アジア予選でも八面六臂の活躍を見せた。17年にはベレーザでセンターバックも経験しており、守備の駆け引きやビルドアップの質も上がった。「サイドバックはスピードに乗ってくる選手をいかに止められるかが魅力」と話す。今大会も右サイドバックのファーストチョイスになるだろう。
5 市瀬 菜々 イチセ ナナ(マイナビベガルタ仙台レディース/21歳/CB)
鋭い読みを生かした守備と安定したビルドアップが魅力のセンターバック。昨年のW杯アジア予選では熊谷とコンビを組んで優勝に貢献し、レギュラー定着は間違いなしと思われた。だが、夏のアメリカ遠征とアジア競技大会をケガで欠場。11月のノルウェー戦で復帰したが、今年3月のアメリカ遠征はインフルエンザにかかって試合に出られず、4月上旬の欧州遠征も選外に。リーグではすでに復帰しているが、代表戦の試合勘に不安を残している。とはいえ、高倉監督が率いた年代別代表では不動のレギュラーで信頼は厚く、フル代表でも強力な戦力になることは証明済み。仙台では今年からプロ契約で、サッカーに集中できる環境を手に入れた。周囲に笑いを絶やさないムードメーカーでもある。
16 宮川 麻都 ミヤガワ アサト(日テレ・ベレーザ/21歳/SB)
昨夏のU-20女子W杯で初優勝を牽引し、年代別代表ですべてのタイトルを獲得した新星。吸い付くようなボールタッチと良質なパス、予測を効かせた守備が特長で、FWとGK以外はどこでもこなせるユーティリティ性も魅力。フル代表デビューを飾った今年3月のアメリカ遠征では、海外の選手の強度やリーチの違いに戸惑いを見せたが、4月の欧州遠征で高い修正力を発揮した。ベレーザの下部組織育ちで現代表メンバーとの連係も良く、チームでは本職のサイドバックに加え、4-3-3のインサイドハーフやアンカーでもプレーする。高倉ジャパンに合流してから日が浅いが、主力にケガ人が出た場合は、不足を埋めるラストピースになるだろう。ピッチを離れれば“癒しキャラ”に変身する。
12 南 萌華 ミナミ モエカ(浦和レッズレディース/20歳/CB)
恵まれた身体能力と鋭い読みで空中戦を制し、正確なフィードやパスで攻撃の起点になる長身センターバック。昨年のU-20女子W杯では主将としてチームを牽引し、自身もMVP3位となるブロンズボールを受賞した。フル代表でデビューを果たした3月のアメリカ遠征と4月の欧州遠征ではロングボールやクロスに落ち着いた対応を見せ、熊谷の相方候補に急浮上した。昨年から浦和で出場機会が増え、今シーズンはレギュラーに定着。その浦和は第7節終了時点で国内で首位を走っており、南も好パフォーマンスを続けている。熊谷は浦和の先輩で、ずっと目標にしてきた存在でもある。近未来のリーダー候補としても期待される逸材は、昨年、優勝カップを掲げた縁起の良いフランスで、その価値をさらに高めることができるか。