フランス女子W杯メンバーが発表!23名メンバー紹介(3)
6月7日から7月7日かけて、フランスで開催される女子W杯に臨むなでしこジャパンのメンバー23名が5月10日(金)に発表された。
選ばれた23選手のうち、ここではMF登録の選手を紹介する。
(写真はすべて筆者撮影)
【MF(6名)】
10 阪口 夢穂 サカグチ ミズホ(日テレ・ベレーザ/31歳/ボランチ)
人並外れたサッカーセンスでゲームをコントロールする日本の心臓。2011年のドイツW杯ではMF澤穂希とボランチを組み、初優勝を支えた。的確なポジショニングと多彩なパスに加え、決定力も高い。国内では15年から3年連続MVPを受賞した。しかし、昨年4月のリーグ戦で右膝前十字靭帯損傷および内側半月板損傷の大ケガを負い、長期離脱を強いられることに。今年1月に約9か月ぶりの代表復帰を果たし、練習では以前のようなキレや判断力を見せていたが、リーグ戦ではコンディションが万全とは言えず、復帰が見送られていた。代表戦からは1年以上遠ざかっており、試合勘は大会中に取り戻していくことになるが、高倉監督は「経験豊富な選手ですし、チームに落ち着きをもたらしてくれると思います」と期待を口にした。限られた選手だけが持つ、ピッチを俯瞰する「目」がチームの大きな力になるはずだ。
7 中島 依美 ナカジマ エミ(INAC神戸レオネッサ/28歳/SH,ボランチ)
ゲームの流れを左右し、ゴールの起点になる中盤のコンダクター。ボールを失わないテクニック、試合終盤までスプリントを繰り返せるスタミナ、正確なキックが魅力で、セットプレーのキッカーも務める。高倉ジャパンではDF熊谷紗希やDF宇津木瑠美らとともにスタート当初からのレギュラーで、代表が3年間で戦った43試合中、最多の41試合に出場。リーダーシップを発揮する場面も増えている。INACではリーグ3連覇を達成した11年の黄金期から次世代を担う若手の中心選手として重宝されてきたが、今やINACで11年目を迎えるチームの「顔」で、主将も務める。強豪国との対戦を重ね、経験も豊富だ。今大会は決勝トーナメント以降の命運を握る一人になるだろう。
15 籾木 結花 モミキ ユウカ(日テレ・ベレーザ/23歳/SH,トップ下)
高倉監督が率いたU-19、U-20の年代別代表でエースナンバーを背負ってきたテクニシャン。3月のブラジル戦で会場を沸かせたループシュートは記憶に新しい。天性のサッカーセンスに加えて戦術理解力が高く、状況に応じてチャンスメーカーにもゴールゲッターにもなれる。153cmと小柄だが、試合の流れを読む能力に長け、国際試合では柔軟な対応力が光る。レフティーで、プレースキッカーを担当することも。名門・ベレーザの10番を背負って4年目、なでしこリーグ1部ではすでに9シーズン目を迎える。昨年はケガでピッチを離れた時期もあったが、復帰後は、以前よりもフィジカル面が強化された印象だ。リーグでは集客プロジェクトを主導するなど、様々な形で女子サッカーの魅力を発信する多才な一面を持っている。
14 長谷川 唯 ハセガワ ユイ(日テレ・ベレーザ/22歳/トップ下,SH)
戦術的な引き出しを数多く持ち、広い視野で日本の攻撃を操る司令塔。多彩なテクニックを駆使し、自由な発想でボールを持つたびに「なにかしてくれるのではないか」と期待させる。プレッシャーをものともしないメンタルも魅力だ。代表でのポジションはサイドやトップ下が定位置だが、ピッチのあらゆるところに顔を出し、90分間スタミナが落ちない。ベレーザと年代別代表で中心選手としてプレーし、フル代表でも初招集からわずか2年で主軸になったが、本人は「ピッチに入れば年齢は関係ありません。育成年代から自分が(チームの中心で)やらなければいけない、という意識でプレーしてきました」と振り返る。今大会で対戦相手のマークが厳しくなることは間違いないが、未来の日本を担う若きファンタジスタにかかる期待は大きい。
6 杉田 妃和 スギタ ヒナ(INAC神戸レオネッサ/22歳/ボランチ)
U-17とU-20W杯でMVPを受賞した才能溢れるゲームメーカー。主なポジションはボランチ。懐の深いボールキープが特徴で、インサイドのダブルタッチや足裏を使ったターンなど、難易度の高いテクニックで局面を打開する。INACでは入団2年目の16年にリーグ(1部)の新人賞を受賞。以降、主力として3年連続のリーグ2位に貢献してきた。昨季は前を向いてボールを奪う機会が増え、守備面で成長の手応えを口にしている。3月のアメリカ戦ではそのセンスとテクニックを発揮してW杯のメンバー入りに大きくアピール。4月のフランス、ドイツとの2連戦でもフル出場を果たした。代表でダブルボランチはここまで固定されずに様々な組み合わせが試されているが、存在感を増している杉田が今大会でレギュラーを掴む可能性は十分にある。
17 三浦 成美 ミウラ ナルミ(日テレ・ベレーザ/21歳/ボランチ)
テクニックと状況判断に優れた技巧派ボランチ。156cmと小柄だが、予測に優れ、攻守で味方を常にサポートできるポジショニングを心得ている。年代別代表では常連メンバーだったが、ベレーザでは代表選手がスタメンのほとんどを占める中で出場機会を得るのに苦労した。昨季、永田雅人監督にアンカーポジションで抜擢されて急成長を遂げ、レギュラーとして11シーズンぶりの3冠を支え、フル代表のボランチ候補に浮上。7月のアメリカ遠征と11月のノルウェー戦で好パフォーマンスを見せ、メンバー入りに大きく前進した。直近のフランス、ドイツとの2連戦では課題も出たが、優勝候補2カ国の強さを体感した貴重な経験は、本番への確かな布石となったはず。