【長崎市】週末限定オープン!入場無料。長崎の原風景に出会える田川憲アートギャラリーSoubi'56
こんにちは!misahanaです。
本日は、出島町の日新ビル1階にある田川憲アートギャラリーSoubi'56をご紹介します。先日、親子で初めてお邪魔しました。
Soubi'56は、2018年1月にオープンしました。戦前戦後に活躍した長崎を代表する版画家・田川憲の作品を展示しています。
ギャラリーは、金土日の週末限定でオープンします。入場は無料です。県内外から、長崎好きの方が、「もっと深く長崎の事を知りたい!」と、こぞって集まる場所です。
早速、田川憲の孫にあたる代表の田川俊さん・由紀さんご夫妻に、お話を伺いました。
長崎の街に溶け込む 芸術家・田川憲
田川憲は、明治から昭和にかけて活躍しましたが、「忘れ去られた芸術家」と俊さんは仰られました。
正直、私も長崎市出身の画家であることは認識していましたが、どのような作品があるのかは、知りませんでした。
しかし、私たちは、既に長崎の街で、田川憲の作品に出会っていたのです。みなさん、こちらのパッケージに見覚えはありませんか?
シースケーキをはじめ、長崎市民は馴染み深い老舗洋菓子店梅月堂の『南蛮おるごおる』のパッケージです。こちらは、田川憲の作品が使用されています。
他にも、カステラの松翁軒の紙袋や、ママン・ガトー(ノスドール)の『阿蘭陀せんぺい』や缶ケーキのパッケージにも使用されています。
こちらは、ノスドールの贈答用のラッピング用紙です。水彩画で、長崎くんちの傘鉾や龍踊りの鱗、箭火矢(やびや)、ペーロンの櫂など、長崎のシンボルが散りばめられています。
昔から当たり前のように、田川憲の作品を多く目にしていたとは、驚きでした。
商品以外にも、田川憲は、長崎くんちの呈上札(ていじょうふだ)も手掛けていたのだとか。こちらは、昨年の踊町万屋町のものです。かっこいい!万屋町は、手拭いにも使用されていました。
冒頭で版画家と紹介しましたが、このように田川憲は、版画だけでなく、水彩画や毛筆画、書、エッセイ、詩などの文章も多く残しています。
俊さんは、「田川憲は、版画家というよりは芸術家。長崎愛の深い、文化人だったのでは」とほほえみます。
展示作品は一点のこだわり
Soubi'56は、ひとつの作品のみを展示する珍しいギャラリーです。そのために、あえて小さな空間にしたそう。作品に関する手記や資料も展示されおり、あわせて楽しむことができます。
現在は、版画ではなく、毛筆画の『長崎古地図』が展示されています。(10月末まで)田川憲の創作が入ったユニークな古地図です。
鳴滝のシーボルトや若宮稲荷神社の竹ン芸など、じっくりと見入ってしまいます。今の長崎を思い浮かべ、眺めるのもおもしろいです。隣には、草案もありますので、ぜひ見比べて見てください。
手記は「長崎頌(ほめうた)」という詩が展示されています。昔の表現で難しいところもありますが、暗号のようでおもしろさを感じました。大和言葉で書かれています。
長崎を詠ったみずみずしく美しい文章で、風景が自然と浮かんできました。「文章と一緒に作品を見ることで、作品の背景も楽しんでもらえたら」と俊さんは話します。
みなさんにも、Soubi'56の空間で、作品と言葉の力、両方味わっていただきたいです。
人々が集い、長崎の原風景に出会う場所
田川憲は、戦争に翻弄されながら、生き抜いた人物です。作品や資料を読み解いていくと、「終戦後、急激に長崎らしさが失われていく街を、版画に残さなくてはという田川憲の責務を感じる」と俊さん。
そのような想いで残された作品を、この場所で鑑賞でき、自由に感想や意見を共有し合えるのは、Soubi'56ならではの魅力です。
また、Soubi'56という拠点ができたことで、田川憲本人と直接交流のあった方々が訪ねて来たり、新たな資料を寄贈してくれることもあるそう。
由紀さんは、「『美を万人の手に!』という田川憲の言葉があるように、芸術を身近に感じてもらえる機会になれば嬉しい」と話します。
みなさんも、田川憲が愛した長崎の街の原風景に会いに来てみませんか?今まで知らなかった、新たな長崎が見えてくるかも。
田川憲アートギャラリーSoubi'56
場所:長崎市出島町10-15 日新ビル106号室
営業日時:金土日 11:00~18:00 ※詳細は公式SNSにてご確認ください。
入場料:無料
電話・FAX:095-895-7818
E-mail:tagawa921@kca.biglobe.ne.jp
アクセス:路面電車「出島」「新地中華街」で下車 徒歩4分
駐車場:なし ※近隣に有料駐車場あり
公式サイト:オンラインショップ
公式SNS:Instagram、facebook
取材協力・一部写真提供:田川憲アートギャラリーSoubi'56 田川俊様・由紀様