大河ドラマはオワコンか?意外に若者にも見られていた「どうする家康」
中京地区では同時間帯の視聴率でトップだった「家康」
大河ドラマは視聴率が下がっているし、お年寄りしか見ていないのではないか、と最近言われる。実際、今年の「どうする家康」は最終回が12.3%、平均視聴率が11.2%。これは2019年「いだてん」(平均8.3%)に次ぐワースト2だったという。
スイッチメディア社が今月公開したTVALnow(無料で放送中の視聴率が表示される)を昨日(12月17日)の放送中に見ると、「イッテQ3時間SP」より下だった。(TVALnowの視聴率はビデオリサーチ社と調査パネルが違うので同じ数値にはならないことに要注意)
このグラフは関東のものだがTVALnowで「中京」(愛知・岐阜・三重の3県)地区を選ぶとこうなる。
この地区では20:45の「どうする家康」の視聴率が12.5%となっており、「イッテQ」の9.8%を凌駕している。家康の出身地、三河を擁するこの地区だからこそのデータだろう。このように、ニュースなどで取り上げられる視聴率は関東地区のものだが、各地区によって大きく違うことは頭に入れておきたい。
今クールの民放ドラマと若者の視聴を比較すると
さて視聴率が下がった下がったとオワコン扱いされがちな大河ドラマだが、若い層には見られていないのだろうか。企業向けデータサービスTVALを使って、10月クールの民放ドラマの若い層の視聴の様子を比べてみた。すると、意外にも「どうする家康」は善戦していた。
10月クールのドラマの平均視聴率を10月1日から12月17日の期間で比べて表にした。いくつかはまだ最終回が来ていないのであくまで参考程度に見てもらいたい。
20代女性では「どうする家康」が4位につけている。30代女性では圏外だが、40代女性ではまた4位にランクイン。民放の各ドラマも若い女性をターゲットに様々に工夫しているわけだが、大河ドラマはそれらと並ぶポジションにある。松本潤を主役に据えた甲斐があったということだろうか。
ところが男性のデータを見るとそう単純な話でもないことがわかる。
20代男性では2位、30代男性では同率で3位、40代男性は2位と、むしろ男性の方が順位が高い。松本潤の女性ファンが「どうする家康」を支えたというより、多くの視聴者が純粋にドラマの面白さ、見応えを楽しんだと言えそうだ。
ではなぜ歴代ワースト2の視聴率なのか。むしろ高齢層の視聴率が減ったからだ。「どうする家康」の新趣向、英雄の弱虫ぶりを描いたり戦いよりも人間ドラマを重視した描き方に、大河らしいドラマを期待した高齢層が離れたのかもしれない。またいまはBSとBS4Kで先行放送したり、NHKプラスで好きな時間に見られる環境が整ったことで視聴が分散したことも予測できる。
筆者個人は、初回から最終回まで大いに楽しむことができた。知っていたようで知らなかった家康の人生を、一緒に「どうする?」と悩みながら見ていた。音楽やタイトルバックの斬新さ、素晴らしさも含めこれまでとは方向性は違うが、新しい大河ドラマだったと満足できた。ネットでも大いに盛り上がったようなので、「視聴率ワースト2」をファンとしては気にする必要はないと思う。
視聴データは今、様々な角度から公表されるようになってきたので、皆さんも自分なりに調べてドラマ視聴の一助にするといいだろう。ドラマの楽しみ方は、人それぞれだ。