レアル・マドリーが前人未到のCL3連覇を達成。勝敗を分けたジダン采配と「BBC」の決定力。
エスタディオ・オリンピコのピッチが、白く染まる。新たな歴史のページがめくられた瞬間だった。
26日にチャンピオンズリーグ(CL)決勝が行われ、レアル・マドリーがリヴァプールを3-1で下した。2015-16シーズン、16-17シーズンに続き、3連覇を達成。ジダン・マドリーが前人未到の偉業を成し遂げている。
■フィルミーノとカセミロの駆け引き
今季CLで30得点を記録しているマドリーと、40得点を挙げているリヴァプールの対戦。攻撃力を武器にする2チームは開始直後から主導権を握るために鬩ぎ合う。だが序盤は前線からのプレスを機能させたリヴァプールが攻勢を強めた。2分にサラーのパスからマネ、6分にフィルミーノのスルーパスに再びマネが走り込み、決定機に迫る。
リヴァプールのプレッシングの肝は、フィルミーノがカセミロを蓋するところだった。CFがアンカーをマークすることで、マドリーのビルドアップを呼吸不全にする。
すると、マドリーはカセミロがビルドアップへの参加をやめてポジションを上げた。ボール保持時はクロースとモドリッチがダブルボランチを組んでパスを供給する。またイスコが引いてきて中盤で数的優位をつくるために工夫した。
リヴァプールが不運だったのは、サラーの負傷だ。28分に肩を痛めたサラーが続行不可能になり、ララナと交代でピッチを去った。エースの離脱でチームメートに明らかに動揺が走る。心理的なショックがプレスの出足を鈍らせた。
■「BBC」を信じたジダンの采配
クロップ監督はララナを左WGに据え、マネを右WGに移してマルセロのオーバーラップを封じようとしたが、疲労も重なりリヴァプールは後方に押し込まれた。フィルミーノのカセミロに対するマークが弱まり、気付けば4-4-2を形成したマドリーがポゼッションを高める。50分の時点でマドリーのポゼッション率は65%、パス成功率は91%を記録していた。
そして、51分にGKカリウスのミスを突き、ベンゼマが先制点を挙げる。しかしリヴァプールも反撃に出る。55分にセットプレーから最後はサネがネットを揺らした。同点に追い付かれたタイミングでジダン監督が動く。イスコに代えてベイルを投入し、前線に「BBC」を据えた4-3-3へとシフトチェンジした。
交代策から4分後にベイルのゴラッソが生まれる。マルセロのクロスからベイルがバイシクルシュート。2002年のCL決勝でジダンが決めたボレーシュート、今季CL準々決勝第1戦ユヴェントス戦のC・ロナウドのオーバーヘッドに比肩する、今後語り継がれるであろうゴールでマドリーが勝ち越す。
ベイルは終盤にも強烈なミドルシュートでGKカリウスのキャッチミスを誘い、2得点をマーク。CLの決勝で、途中出場で2得点を記録した初めての選手になった。「BBC」が全得点を叩き出して勝敗は決した。
■経験
マドリーは前身のチャンピオンズカップ含めCLでクラブ史上13度目の優勝を飾った。16度ファイナルに進出して13度ビッグイヤーを掲げている。この37年、一度も決勝で負けていない。
ただ、最後に決勝で敗れた1980-81シーズン、その対戦相手は奇しくもリヴァプールだった。マドリーは欧州屈指の矛と矛の対決を制すと同時に、数十年前のファンタズマ(亡霊)を振り切っている。
天国と地獄を隔てたのは経験だったろうか。この試合のスタメンの平均年齢を見ると、マドリー(29.0歳)とリヴァプール(25.8歳)の差は明白だ。ジダン監督が「カーディフの11人」と呼ばれる昨季CL決勝と同じスタメンを起用した一方で、リヴァプールのスタメンは全員が決勝の未経験者であった。
大会得点王には、C・ロナウドが輝いた。13試合で15得点。決勝では無得点に終わり、自身が保持する大会記録の17得点には届かなかったものの、堂々の受賞だ。
年齢を重ねる中で訪れる変化。C・ロナウドはそれを受け入れた。近年、ポルトガル代表FWのペナルティーエリア内での得点数は増加している。2015-16シーズン(全得点のうち84,3%)、2016-17シーズン(88,1%)、2017-18シーズン(95,5%)という数字を残しているのである。
マドリーはいよいよ打倒不可能なチームになってきた。1956年から1960年にかけてチャンピオンズカップ5連覇を達成したクラブにとって、今後の敵は己自身となるかもしれない。