衛星画像で紅海の米空母アイゼンハワーの健在を確認
5月31日、イエメンのフーシ派のヤヒヤ・サリー報道官は紅海を遊弋するアメリカ海軍の空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」に攻撃を行うと発表、6月1日にも攻撃を実施したと追加発表し、24時間以内に2回攻撃したと主張しています。
しかしアメリカ国防総省は「空母アイゼンハワーに対するいかなる攻撃も行われていない」と攻撃そのものを否定しています。出典:Reuters
そして6月2日、 ESA(欧州宇宙機関)の光学衛星「センチネル2」が紅海を遊弋する空母アイゼンハワーの姿を捉えました。サウジアラビアのジェッダ港の北西400kmの位置で、航跡も確認されて航行中であることが分かります。損傷した様子は見られません。
※サウジアラビアのジェッダ港の北西400km(紅海の北部)
※追記:中国の衛星も6/2に紅海の空母を捕捉。補給艦と並走し補給中
- ニミッツ級空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」
- サプライ級高速補給艦「サプライ」
- タイコンデロガ級巡洋艦「フィリピン・シー」
- アーレイ・バーク級駆逐艦「メイソン」「グレイブリー」
なおアメリカ中央軍の報告では、6月1日(サナア時間)午前9時から午後7時30分に紅海の南部でフーシ派のドローン1機を撃墜して他に2機が墜落するのを確認し、午後7時から午後11時30分の間には駆逐艦「グレイブリー」がフーシ派の対艦弾道ミサイル2発と交戦し撃墜したとあります。味方艦や民間船に損害はありませんでした。出典:CENTCOM
フーシ派の主張する「24時間以内に2回攻撃した」とはこの一連の戦闘のことを指すものと思われます。空母を撃破したわけではなく、空母打撃群との交戦を企図したという意味だったのでしょう。狙われたのは空母ではなく駆逐艦で、そして対艦弾道ミサイルは2発とも撃墜されて命中弾は1発もありませんでした。
そして空母アイゼンハワー打撃群は紅海の南部から北部に向けて航行を続けて(つまり紅海中央付近のジェッダ港を素通りして遠ざかっている)、6月2日に光学衛星で確認されています。
交戦海域はアメリカ中央軍の説明の「紅海南部」からの大まかな推定です。インターネットの一部で「空母がジェッダ港に向かっている」という根拠の無い真偽不明の情報がありましたが、単に北進していただけで空母はジェッダ港に立ち寄ることもなく素通りしています。
空母が北進した理由はおそらく洋上補給を行うためです。補給艦と並走しながら物資や航空燃料を受け取る間は回避行動が出来ず脆弱になるので、敵であるイエメンのフーシ派から離れた場所で洋上補給を行いたかったものとみられます。
5月31日のフーシ派による空母攻撃の発表以降にインターネットの各SNS上では様々な噂話が流れ、空母が損傷したかのような流言飛語が飛び交っていましたが(過去の関係無い船の火災事故の画像やゲームの動画が多数UPされてしまう)、6月2日の衛星画像を見る限り噂話は全て事実ではなく空母は無傷のようです。