先月デビューの25歳が1試合3本塁打で7打点を挙げる。ヤンキースの救世主となるのか
7月6日、ニューヨーク・ヤンキースは、14対4でボストン・レッドソックスを下した。
ヤンキースの14点中7点は、「1番・一塁」のベン・ライスが挙げた。1回裏の先頭打者ホームランに続き、5回裏と7回裏に3ラン本塁打を打った。
先月18日、アンソニー・リゾーの故障者リスト入りに伴い、ライスは、AAAから昇格し、その日にメジャーデビューした。7月5日までの16試合は、打率.261と出塁率.364。ホームランは1本、打点は5だった。17試合目の7月6日は、5打数3安打、3本塁打と7打点だ。
年齢は25歳。3年前のドラフトで、ヤンキースから、12巡目・363位に指名された。ちなみに、ヤンキースが指名した20人中、ライスは12番目。あとの19人は、まだメジャーリーガーになっていない。
マイナーリーグでは、一塁出場よりも捕手出場のほうが多く、メジャーデビュー後も、1イニングだけ、マスクをかぶっている。
ドラフトの順位からも窺えるように、トップ・プロスペクトと目されてはいなかったが、昨シーズンは、AとA+とAAの計73試合で20本のホームランを打ち、打率.324と出塁率.434を記録した。今シーズンは、AAとAAAの60試合で15本塁打、打率.275と出塁率.393。パワーとともに、選球眼も発揮してきた。
ベースボール・リファレンスによると、デビューから数えて17試合目の1試合3本塁打は、10試合目のボビー・エスタレイヤ(1997年)とアリスティーディス・アキーノ(2019年)、14試合目のジャレット・パーカー(2015年)とクリスチャン・ビヤヌエバ(2018年)に次ぐ。
この4人とも、オールスター・ゲームに選ばれたことはなく、メジャーリーグでプレーしたのは10シーズン未満、ホームランは50本未満だ。ビヤヌエバとアキーノは、日本プロ野球でも活躍できなかった。
もちろん、ライスが彼らのようになるとは限らない。ただ、ヤンキースの救世主となるかどうかには、疑問符がつく。
ヤンキースは、6月14日にシーズン50勝目を挙げたものの(「ヤンキースが50勝に一番乗り。72試合以下で到達した9度のうち7度はワールドシリーズ優勝だが…」)、その後は5勝しかできず、14敗を喫している。1試合の平均得点は、6月14日までの72試合が5.10、6月15日以降の19試合は5.11。その一方で、平均失点は、3.24と6.68だ。