料理愛好家の平野レミさんが、初のひとり自炊本『平野レミの自炊ごはん』(ダイヤモンド社)を上梓した。
2019年に愛する夫、和田誠さんを亡くされ、「未亡人」になったレミさんだが、「味望人=味を望むすべての人」を名乗って精力的に情報発信を続けている。
「いつも元気ね~」と言われる、そのバイタリティの源泉は一体、何なのだろうか?
今回はそんなレミさんに、これまでの人生で経験した出会いと別れについて、話を聞いてみよう。
和田さんが私に贈ってくれた最高のプレゼント
料理は「誰かのため」という気持ちを大切にしているというレミさん。
家に遊びに来たお客さんのため、生活をともにする夫のため、子どものためというふうに、相手がいれば食べたときの反応が返ってくる。
そのときの「おいしい」という反応が料理を作るモチベーションにつながるからだ。
だが、ふたりの息子さんが独り立ちして、「我が子のため」に料理を作る機会を失ったとき、張り合いをなくすようなことはなかったのだろうか?
やり残したこととは……?
それは、「歌をうたう」ということだった。
息子たちが連れてきてくれた、義理の娘たちとの出会い
独り立ちした息子さんたちも、その後、レミさんに素敵な出会いをプレゼントしてくれたという。
それは、それぞれの結婚相手である、義理の娘さんたちとの出会いだ。
もうひとつ、驚かされたのは長男と次男の奥さん、ふたりが「ウチのダンナは料理が上手で、味つけのセンスも抜群なんですよ」って言ってくれたことだったという。
「門前の小僧、習わぬ経を読む」とは、まさにこのことではないか!
和田さんの存在は完全に消えたわけじゃない
さて、「出会い」があれば「別れ」があるのが人生の常だが、レミさんは2019年10月7日、最愛の夫である和田誠さんとのお別れを経験している。レミさんにとって、どんな出来事だったのだろうか?
和田誠さんが亡くなって、4年半。最近思うのは、「和田さんの存在は完全に消えたわけじゃない」ということだという。
ところで、『平野レミの自炊ごはん』の巻末には「装画 和田誠」というクレジットがある。
だが、本の中身には和田さんのイラストは載っていない。
読者のなかには、「果たしてこれは、どういうことなのか?」と疑問を持った人も多いだろう。だが、本のすみずみまで見てみると、その答えがわかるはずだ。
実は、裏表紙に和田さんのイラストが使われているのだ。
2020年の国勢調査によると、配偶者を亡くした人は日本国民の約9%にあたる約1000万人もいて、そのうち約80%を女性が占めるという。
レミさんの友だちにも同じ境遇の人がたくさんいて、みんなでヨーロッパ旅行をしようと計画しているそうだ。
「味望人」として、日々の自炊を楽しんでいるレミさんの超ポジティブな生き方には、学ぶものが多いのではないか。
※この記事は、かっこよく年を重ねたい人におくるWEBマガジン「キネヅカ」に公開された記事を加筆・修正したものです。是非、そちらの全長版もお楽しみください。
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