豚骨ラーメン発祥の街! 福岡久留米で食べるべき豚骨ラーメン「基本」3軒
久留米は「豚骨ラーメン発祥」の街
福岡県久留米市は古くから九州流通の要として、小売業や問屋が多く集まる商業の街だった。戦前は久留米絣や行商用の足袋が主要産業として栄え、戦後はゴムの街として名を馳せた。そんな久留米の街で今から80年以上前に生まれた「久留米ラーメン」は、博多ラーメンをはじめとする豚骨ラーメンの源流ともされている。
昭和12(1937)年、スープに豚骨のみを使用した「豚骨ラーメン」を初めて作ったのが、西鉄久留米駅前で屋台として創業した「南京千両」。うどん店を営んでいた店主が故郷長崎の「ちゃんぽん」や横浜の「支那そば」などをヒントに、鶏ガラではなく豚骨でスープを取ったラーメンを作ったのが始まりだ。
久留米で生まれた豚骨ラーメンは、その後熊本へと伝播して九州全域に広まったと言われている。そんな豚骨ラーメン発祥の地、久留米で絶対に食べておかねばならない、基本中の基本と言える3軒をご紹介しよう。初めて久留米でラーメンを食べ歩く時には、まずこれらの店から始めて欲しい。
九州豚骨ラーメン発祥の店『南京千両』(1937年創業)
スープに豚骨のみを使用した「豚骨ラーメン」を九州で初めて作ったのが、昭和12(1937)年に西鉄久留米駅前で屋台として創業した「南京千両」(福岡県久留米市野中町1357-15)だ。うどん店を営んでいた創業者は、当時横浜で流行っていた「支那そば」に目をつけて、東京で作り方を学んで久留米でオリジナルのラーメン屋台を始めた。
白濁したスープに醤油ダレ、中太で縮れのある自家製麺という豚骨ラーメンは、豚骨に鹿児島県産のものを厳選したり、麺やスープにアルカリイオン水やモンゴル産の岩塩を使用するなど、時代に合わせたアップデートを続けながら今も多くの人たちに愛されている。久留米はもちろん九州の豚骨ラーメンを語る上で外すことの出来ない一軒だ。
創業以来炊き続ける元祖呼び戻し『大砲ラーメン』(1953年創業)
久留米ラーメンの代名詞とも呼べる「呼び戻し」の名をこの世に知らしめたのが、1953(昭和28)年創業の『大砲ラーメン』(福岡県久留米市通外町11-8)。まるで鰻のタレのように、創業以来空にすることなく継ぎ足されている豚骨スープの釜。熟成したスープに新たなスープを継ぎ足すことで深みが増していく製法は、創業者が大成させて二代目が「呼び戻し」と名付けた。
濃厚でパンチのある豚骨臭を持ったスープは、豚骨以外の材料は一切使うことなく、しっかりと豚骨の髄から旨味を抽出しているため、一口啜ると思いのほかまろやかでしつこさはない。スープとの絡みが抜群のオリジナル低加水麺は国産小麦を独自にブレンドしたもの。屋台時代の味を再現した「昔ラーメン」では、古き良き久留米ラーメンの特徴でもある豚脂の揚玉(カリカリ)も楽しむことが出来る。
国道沿いでドライバーに愛され続ける味『丸星ラーメン』(1958年創業)
創業は1958(昭和33)年。久留米市内を走る国道3号線沿いで半世紀以上愛され続けているのが『丸星ラーメン(丸星中華そばセンター)』(福岡県久留米市高野2-7-27)。日本初の24時間営業によるラーメン店(当時)でもあり、久留米地方で最初に替え玉を始めた店としても知られる。店内には手作りの肉じゃがや手羽先などのお惣菜が無料サービスで置かれているのも優しい心配り。
豚骨臭がガツンと香る茶褐色の豚骨スープは、しっかりと豚骨の髄まで溶け出し濃密な味わい。比較的粘度があるスープのため中太の麺との絡みも良く、麺を啜るたびに鼻腔に豚骨の香りが抜ける。さらに高菜やたくあん、さらに胡椒などで味の変化を楽しんだり、替え玉はもちろん白飯やいなりと一緒に食べるのもオススメ。心もお腹も満足出来ること間違いなしの店だ。
今回ご紹介した3軒は、いずれも久留米ラーメンや九州の豚骨ラーメンを語る上で欠かすことの出来ない店ばかり。久留米で食べ歩きをする時には、まずこの3軒からスタートして、久留米の奥深いラーメン文化を体感して欲しい。
※写真は筆者によるものです。
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