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日本代表はこのままでは持続しない。協会及び森保監督は、選手にどれほど感謝の念を抱いているだろうか

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 Jリーグと日本代表、訴求力が高いのはどちらと問えば後者だ。日本のサッカー界は、日本代表を中心に回っている。両者の関係は徐々に詰まってきているとはいえ、4年に1度開催されるW杯を中心に動いていることは確かである。

 他国よりもその度合いは強い。本場欧州は必ずしもそうではない。チャンピオンズリーグを頂点とするクラブサッカーありきで成立している。欧州は都市国家を中心に発達を遂げてきたが、現代の欧州サッカーには、そうした歴史的な背景をとくと垣間見ることができる。日本にはない独得の風土が、欧州クラブサッカーを支える起爆剤になっているのだ。

 広く世界を見渡せば、日本こそが独特な風土となるが、その結果、日本に育まれることになったのが日本代表中心主義だ。

 欧州では、代表チームに招集されても、辞退する選手は少なくない。日本はほぼゼロである。故障や病気以外の理由では辞退しにくい環境にある。一部のファンからは少し前まで、非国民呼ばわりされそうなムードがあった。

 日本代表に選ばれるメリットは多々存在する。日本代表のキャップが1度でもあれば、引退後、元日本代表を名乗ることができる。サッカースクールを営む場合も、メディアに登場する場合も、元代表の肩書きを付加価値として活かすことができる。欧州の選手以上に、である。

 だが、実力は代表レベルにあっても、代表監督から声をかけられなければ、日本代表選手にはなれない。代表選出は監督の相性と密接に関係する。多くの選手がその一方で持ち合わせる、欧州でプレーするという願望の方が、実現できる可能性は高い。

 

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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