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サッカー日本代表は砂上の楼閣。遠藤航について「まったく心配していない」という森保監督が心配になる

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

 2026年W杯アジア3次予選グループCを独走する日本代表。27人のメンバーは毎度9割方変わらない。怪我人が入れ替わる程度である。予選落ちする可能性は限りなくゼロに近づく一方で、メンバーの固定化は進むばかりだ。W杯本大会に向け不安は募る。

 メンバーが固定化されることはなぜ問題なのか。1年半後に迫ったW杯本大会が心配になるのか。ここから整理したい。

 代表選手を選ぶ際、基準となる要素は何か。当落を分ける決め手は何なのか。実力、調子、体調、監督の好み、戦術、所属クラブでの出場機会、さらには選手としての格だ。

「好み」が代表監督の独自色が反映される一番の要素であるのに対し、「所属クラブでの出場機会」と「選手としての格」では、監督は受け身の立場になる。

 前者は言い換えれば所属クラブでの実績で、後者は所属クラブの格になる。欧州クラブランクの上位リーグ及び上位チームでコンスタントに出場している選手は、監督の好みから多少外れても選ばざるを得ない。国内組は逆に選びたくても選べない状況になっている。それでも選ばない手もあるが禍根を残す。選ばなければならない選手は、監督の力の及ばぬところで決まる場合が多々あるのだ。

 代表監督が選手と交わる期間は通常、試合の3日前からだ。W杯本大会やアジアカップなどの短期集中トーナメントを除けば、監督が選手と過ごす時間は短い。練習時間も限られている。27人の優劣は招集した時点であらかた決まっている。所属クラブでどれほど出場しているか。それはスタメンを決める上で大きな要素になる。

 現在のスタメン候補は、それなりのクラブで、それなりに活躍している選手たちだ。しかし半年後、1年後、その状況に変化が起きない保証はない。選手は高確率で怪我のリスクも抱えている。

 にもかかわらず、2022年カタールW杯以降、メンバーに大きな変動はない。ベストメンバーもソラで言えるほどだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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