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札幌―釧路間、約4時間10分の特急おおぞら号 2010年から30分減速も、実は北海道で最初の特急列車

鉄道乗蔵鉄道ライター
特急おおぞら号(写真:MaedaAkihiko CC BY-SA 4.0)

 札幌―釧路間348.5kmを4時間10分程度で結ぶ特急おおぞら号は、2022年3月のダイヤ改正より使用車両がそれまでのキハ283系からキハ261系に改められ、この時に基本編成も5両編成から4両編成に減車された。

 JR北海道では、2024年のゴールデンウィーク期間明けの5月11日から5月30日まで北海道内の特急列車が6割引となる「トクだ値スペシャル21」というキャンペーンを行ったことから、筆者はこの機会を利用すべく特急列車8列車に乗車することを計画。

 そして、えきねっとの使い勝手の一つとして、クレジットカード、コンビニ・金融機関、駅窓口支払の全ての決済方法を試したことについては、2024年5月27日付記事(使い勝手で話題?「JR北海道えきねっと」 カード、コンビニ、駅窓口 全ての決済方法試して分かったこと)で触れたとおりで、最初に予約した特急オホーツク号についてもどのような特急列車であるのか2024年5月28日付記事(札幌―網走間を5時間半で結ぶ特急オホーツク号 閑散とした土休日と利用多い平日で乗客に差?)で紹介した。

 そして、2列車目に予約した特急おおぞら号は、1961年10月のダイヤ改正により登場した北海道初の特急列車という由緒正しい列車である。

最初の運転区間は函館―旭川間だった

登場時はキハ82系気動車による運行だった(写真:spaceaero2 CC BY-SA 3.0)
登場時はキハ82系気動車による運行だった(写真:spaceaero2 CC BY-SA 3.0)

 特急おおぞら号は、1961年10月1日に行われたダイヤ改正で、北海道内初の特急列車として函館―旭川間を室蘭本線・千歳線経由で運行を開始した。当時の北海道の優等列車は青函連絡船を介して本州方面との接続を意識していたことから函館駅を中心にダイヤが組まれていた。また、函館から札幌方面に向かう優等列車は倶知安駅と小樽駅を通る函館本線の山線がメインのルートとして使われていたが、この特急おおぞら号が海線と呼ばれる室蘭本線・千歳線を経由したことが、その後の優等列車の運行経路が海線へと転換される大きな契機となった。

 翌1962年10月のダイヤ改正では、それまでの旭川発着編成に加えて釧路発着編成の連結を開始。1967年3月のダイヤ改正では旭川発着編成を分離し、特急おおぞら号は函館―釧路間での運行となった。このときはまだ石勝線の開業前であることから、特急おおぞら号は滝川駅で函館本線から根室本線へと入り富良野経由で運行されていた。その後、1981年10月の石勝線の開業に伴って特急おおぞら号の全列車は石勝線経由の運行へと変更。国鉄最後のダイヤ改正となった1986年10月には、全列車が札幌―釧路間での運行となった。

特急スーパーおおぞら号として登場したキハ283系気動車は現在は特急オホーツク号として運行されている(写真AC)
特急スーパーおおぞら号として登場したキハ283系気動車は現在は特急オホーツク号として運行されている(写真AC)

 1987年4月の国鉄分割民営化を経てJR北海道となった後の1997年3月のダイヤ改正ではキハ283系気動車が導入され特急スーパーおおぞら号が誕生。2001年3月ダイヤ改正で全列車がキハ283系での運行となり、札幌―釧路間は最速3時間35分で運行されるようになった。なお、このときの基本編成は6両編成で繁忙期には車両の増結により9両編成や11両編成での運行も見られていた。

 しかし、2011年5月に発生した特急スーパーおおぞら号の石勝線特急列車脱線火災事故以降、高速運行をやめてしまい、現在の所要時間は4時間10分~4時間20分程度と大幅な減速ダイヤとなり基本編成も4両編成に短縮されてしまった。

えきねっと6割引キャンペーンも座席には余裕?

 筆者はこの日は釧路駅を19時に発車する特急おおぞら12号を予約した。特急おおぞら12号の札幌駅までの所要時間は3時間59分で、同区間を3時間台で走る数少ない列車となっているが、大半の特急おおぞら号の所要時間は4時間10分〜4時間20分程度となっている。

 えきねっとで予約状況を見たところ6割引キャンペーンにも関わらず、座席には比較的余裕があったように感じられた。6割引の対象となる「トクだ値スペシャル21」の座席数が限定されていたこと、加えて平日夜の遅い時間帯ということも予約状況に余裕があった要因と考えられる。

 しかし、多くの空席を残したまま走らせるよりも、例えば一般商品の在庫処分セールのようなイメージで、発車数時間前に空席利用のバーゲン運賃でチケット販売を行うなど、本来、列車への乗車を予定していなかった人たちへの需要を喚起するなど、販売面での工夫を重ねることができれば、いくらか増収につなげることができるのではないだろうか。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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