予約推奨!販売期間は3日間だけ、とらやさんの「更衣」和三盆の豊かな風味とこし餡が織り成す繊細なお菓子
もうすぐ衣替えの季節ですね。衣替えと申しましても、毎日お召しになる洋服ではなく、制服などの公式な服を差します。都内の教育施設でも、6月1日から夏服に切り替えというところが多く見受けられるかと思います。皆さんも、明日から夏服で来てくださいと言われた記憶はありませんか?
さて、時を遡り室町時代。日本を代表する大御所「とらや」さんが創業なさった時代のひとつまえ、平安時代では中国から伝わったしきたりにより年に2回当時の冬服と夏服を入れ替えることを更衣と呼んでいました。そこから江戸時代になると着物の種類も増え、四季にあわせて4回に。そして新暦が導入された明治時代初期から、政府関係者や軍人、学校などが6月と10月に制服を夏服から冬服へと交換するという習慣が次第に普及していきました。
今回はその衣替えにあわせ、なんと年に3日間だけ販売されるとらやさんの知る人ぞ知る作品とも称される「更衣」をご紹介。
筒を輪切りにしたような、シンプルながらも一度目にするとなかなか頭から離れない佇まい。和三盆をはたいた表面、そしててっぺんにも惜しげもなく和三盆で雪化粧を施されているのは、こし餡に糯米などの米粉を合わせ蒸しあげたもの。煉瓦色とも赤葡萄色とも呼べるような、角度によって微妙に変化する色合いもまた奥深い。
むぎゅ、とも、もちっともなんとも例えがたい独特な食感でありますが、ぼそぼそとしているわけではないのです。むち、むちっと噛みしめていくとほろほろとほぐれていき、その欠片がさらさらとした粒子へとさらに溶けていきます。こし餡のさらりとした甘さと米粉のほっこりとした甘さ、タイプが異なる甘味がじわじわと体に染みていく間、ふと目を閉じて深く息を吐き出してしまう程滋味深く、それゆえに丁寧な味わい。
ほんの少しひんやりとした和三盆の舌触りもまた、初夏に相応しい優雅な爽やかさを運んでくれます。
色彩豊かな上生菓子で表現される日本の四季。確かに和菓子の醍醐味の一つといっても過言ではありませんが、慎ましやかながらもその時節にふと思いを巡らせてしまうような和菓子もまた一興。日本人がいかに細やかな自然の移ろいを肌で感じ取ってきたかが滲み出しているかのようなお菓子です。
※「更衣」は関東地方・近畿地方限定の販売となっております。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<とらや・赤坂店>
公式サイト(外部リンク)
東京都港区赤坂4-9-22
03-3408-2331
9時~18時(土日祝 9時30分~)
定休日 毎月6日(12月を除く)